2020年5月8日金曜日

スイスにおける新型コロナウィルス対策

スイスは欧州では比較的早い時期に新型コロナウィルスの感染が拡大し、段階的に行動制限が強化されてきましたが、3月中旬から新規感染者数の減少傾向が明確になり、今後は制限を徐々に解除していく方向に向かっています。この機会に感染拡大からの経緯を振り返り、記録に残しておきたいと思います。

なお私は疫病対策や感染症の専門家ではなく、スイスのチューリッヒ州に家族とともに住む一個人です。記録は俯瞰的なものではなく、自身の関わる範囲で経験した内容に限られます。

時系列

2月末〜3月上旬

2月中頃までは、新型コロナウィルスはアジアの遠くの地域での感染症という感じでしたが、2月中旬からイタリアで新型コロナウィルス感染者が出たと報道されるようになり、徐々に他人事ではなくなってきました。

学校当局者からも、学校での対策や、新型コロナウィルス流行感染国から帰国した子供に対する措置を通知する連絡が届くようになりました、また月末には勤務先でも感染者が確認されました。

この時期にスイス国内で感染が確認された事例は、すでに感染者が流行していた外国(特にイタリア北部)から入国した人が、入国後に発症した事例が多かったように記憶しています。

2月28日(金)

スイス国内での新型コロナウィルス感染者数が増加。特に、イタリアからの越境通勤者が多い Tessin 州で多くの感染者が出ていました。

スイス国内での新型コロナウィルス感染増加に伴いスイス連邦議会が緊急招集され、翌日から3月15日まで1,000人以上のイベント開催が禁止になりました。翌土曜日の時点ではスキー場が「1,000人以上のイベント」に該当するかの解釈が分かれ、一部のスキー場は営業を継続しましたが、日曜日からは全面休業になりました。

連邦政府によるプレスリリース

対策(国)
    • 1,000人以上のイベント禁止

    3月4日(水)

    2月末に骨折した足首を手術するため、入院。

    新型コロナウィルス予防のため、消毒薬が待合室に置かれるなどの対策は行われていましたが、この時点では病院は通常通りに機能していました。病院内の食堂も営業、見舞客の訪問も可能でした。

    またチューリッヒ州当局が新型コロナウィルスへの対策を改定。これに伴い、学校にも下記のガイドラインが設定されました。

    対策(学校)

    • 外部の人間(保護者を含む)が参加し、室内で行われる学校行事を避ける
    これにより保護者会や授業参観の日程延期、ならびに保護者参加の特別授業 (Projektwoche) の内容変更が決まりました。

    3月7日(水)

    退院。術後四週間は、手術した方の足には体重を軽く乗せるだけにするようにということで、松葉杖生活です。その間、会社は病欠で自宅待機。

    新型コロナウィルス新規感染者数が徐々に増え、連日報道されるようになりました。この時点では小学校や店舗営業は通常通り。

    3月13日(金)

    新型コロナウィルス感染拡大が止まらないため、連邦議会が追加措置を決定。アナウンスの翌日午前0時から施行されました。

    対策(国)
    • 100人以上のイベント禁止
    • 学校閉鎖
    • レストラン、バー、ディスコに滞在できるのは一店舗あたり従業員を含めて50人まで
    連邦政府によるプレスリリース

    外出規制は導入されないが、人との接触を減らすように (soziale Distanzierung) というアナウンスがありました。

    これにより、子供が通っている小学校も月曜日から閉鎖されることに。今後の授業については未定。

    3月16日(月)

    スイス連邦政府が感染症予防法に基づく非常事態宣言 (ausserordentliche Lage gemäss Epidemiengesetz) を発令。これに伴い州の権限の一部が連邦政府に移譲。翌日午前0時から施行。

    対策(国)

    • 規模に関わらず一切のイベントを禁止
    • 原則として全ての商店、市場、レストラン、バーならびに娯楽・余暇産業、スポーツセンター、スイミングプール、スキー場を閉鎖。
    • 距離を保てない一切の業務(散髪、コスメティックサロンなど)を閉鎖。
    • 陸路国境の閉鎖(ただし物流は維持)
    継続して営業される店舗・サービス
    • 食材店
    • 食料品テイクアウト
    • 社内食堂
    • 食料のデリバリー
    • 薬局
    • ガソリンスタンド
    • 自動車・自転車などの修理工場
    • 銀行
    • 郵便局
    • ホテル
    • 公共サービス
    • 社会サービス
    • 公共交通機関(タクシーを含む)
    連邦政府によるプレスリリース Coronavirus: Bundesrat erklärt die «ausserordentliche Lage» und verschärft die Massnahmen

    この時点で一般顧客向けの店舗は、生活を維持するために必要最小限のものを残して全て閉鎖されました。要請ではなく、法に基づく強制措置です。

    オフィスは継続して営業可能で外出も自由ですが、一般向けの店舗がほぼ閉鎖されたことと、学級閉鎖により子供が昼間から在宅することになったため、この時期を境に外出する人がぐっと減った印象です。

    また継続して営業する店舗では、感染防止のための措置として入場規制や店員・顧客の間を隔離するための仕切り板の導入が進められました。たとえば中〜大規模のスーパーマーケットでは、次のような対策がされるようになりました。
    • 入場者数が規制され、上限に達すると誰かが買い物を終えて出てくるまで次の人が入場できない。
    • 入場待ちをする人は、足元に2m毎に引かれた線に並んで待つ。
    • 導線が一本道に。
    • レジでは店員と顧客の間に透明なアクリル板が設置され、会話の際に飛沫が飛ばないようにする。

    3月19日(木)

    この日から小学校で Microsoft Teams を使った遠隔授業が始まりました。急いで準備したようで、まだ授業の形式などは手探りです。

    勤務先から、翌日よりオフィスが閉鎖される旨の連絡がありました。法律に基づく強制措置ではなく、会社判断とのこと。
    これにともない、会社から作業用のワークステーションを自宅に持ち帰って良いとアナウンスがあったので、まだ病欠中でしたが、急遽、車を出して会社からワークステーションを持ち帰りました。

    また、スイスから日本への一般郵便の発送が停止されました。

    対策(地方自治体
    • 小学校遠隔授業を開始
    対策(勤務先)
    • オフィス閉鎖

      3月20日(月)

      スイス連邦政府が対策を強化し、初めて個人に対する罰則付きの行動規制が課されました。この強制的な外出規制はなく、不要な旅行などは避けることが強く推奨される一方で、買い物や散歩などのために外出することは自由です。

      またチューリッヒ市は、住人が他人と距離を取るようにとの従前の規則に従わなかったため、一部の広場、公園、散歩道を閉鎖し、私の住んでいる村でも学校に隣接する運動場などが閉鎖されました。

      対策(国・継続)
      • 規模に関わらず一切のイベントを禁止
      • 原則として全ての商店、市場、レストラン、バーならびに娯楽・余暇産業、スポーツセンター、スイミングプール、スキー場を閉鎖。
      • 距離を保てない一切の業務(散髪、コスメティックサロンなど)を閉鎖。
      • 陸路国境の閉鎖
      対策(国・新規)
        • 公共の場で5人を超えて集まることを禁止。違反者には罰金が課される。
        • 5人以下でも、2mの間隔を保つこと。
        対策(地方自治体・新規)
        • 人が多く集まり 2m の間隔が保たれていない湖畔、公園、運動場などを閉鎖。
        小学校の遠隔授業に関しては先週2日間の経験を踏まえて、徐々にフォーマットが固まってきました。
        • チューリッヒ州では1クラスあたり20人前後ですが、全員が一度にビデオ会議に参加すると授業進行が難しくなるため、3〜4人程度のグループに分け、15分程度の授業を行う。
        • 授業は対話型の内容と、ビデオ会議終了後に個人で行う課題の説明。
        • ビデオ会議終了後、生徒は与えられた課題を行う。
        • 先生は全グループとのビデオ会議終了後は、質問に答えるためにオンラインで待機。生徒側から必要に応じてチャット、ビデオチャットで先生に質問します。
        一方で小学校低学年では、親の負担は大きいです(後述)。

        4月2日(木)

        妻の通院のため医院を訪れました。ビル2フロアを数人の医師で使っている、スイスでよくある小規模医院です。

        医院に入る時点で手指消毒ならびにマスク着用、待合室では他の患者と2mの距離をとり、医師と会話する際にも距離をとることが求められした。通常は待合室に数名の患者がいるのですが、このときはゼロ。医師に話を聞いたところ、対面診察が必要な患者以外は予約を延期し、来院する患者数自体を抑制しているとのことでした。

        4月8日(水)

        前日の4月7日(火)で遠隔授業がひとまず終わり、この日からイースター休暇ならびに春休みに入りました。
        現地の小学校では休暇中は宿題が出ませんが、子供が任意で通っている日本語学校からは宿題が出ているため、引き続き監督は必要です。

        4月16日(木)

        連邦議会から対策緩和のアナウンスがありました。3段階に分けて段階的に緩和、途中で感染者数が増えるようであれば中断、あるいは巻き戻しという条件付き。
        4月27日から

        一部店舗(下記)の営業再開
        • 理容室
        • マッサージ
        • コスメティック・スタジオ
        • ホームセンター
        • ガーデンセンター
        • 花屋
        • 庭師
        • 病院では、緊急を要しない手術を延期するようにしていた措置を撤回。
        5月11日から
        • 義務教育課程の学校再開
        • 一般商店の営業再開(ただしレストラン、バーなどは除く)
        6月8日から
        • 高等教育課程の学校再開
        • 公共施設の再開
          • 博物館
          • 美術館
          • 動物園
          • 図書館
        連邦政府によるプレスリリース

        4月23日(木)

        妻の検査のために、州の中核病院を訪れました。 病院の建物入口に検問が設けられており、まずはその前に 2m 間隔を保って並びます。検問では予約の有無を確認され、必要な人のみが入場を許可される仕組みです。入場に際しては備え付けの消毒薬での手指消毒、ならびにマスクの着用が求められます。

        妻はドイツ語がまだ不十分なため、私が医師と妻の会話を通訳するために同行したのですが、まずは同行者は外で待つようにと言われました。検査完了後、妻の担当医が私の入館を許可する旨の手紙を書いてくれたので、それを見せて初めて入館。

        この病院では新型コロナウイルスの検査も行っているのですが、そちらの検査を受ける患者は他の患者と接触しないよう導線を分けてありました。

        4月27日(月)

        春休みが終わり、小学校の遠隔授業が再開しました。これから2週間は遠隔授業、その後は小学校再開の見込みです。

        4月30日(木)

        村の教育局から5月11日以降の授業について連絡がありました。スイスでは連邦議会レベルで学校再開を決定し、保健省が感染症拡大防止のための保護計画 (Schutzkonzepte) の原則を策定、それをうけて州の保健局が保護計画を策定し、基礎自治体(市・村)が具体的な内容を策定・実施するという流れになっています。
        州レベルの保護計画
        Wiederaufnahme des Präsenzunterrichts an der Volkschule (Regelschule) ab 11. Mai 2020
        抜粋
        • 6月8日まで、義務教育における対面授業のクラスは15人まで
        • キャンプ、旅行、遠足、行事、運動会、終業式などは夏休みまで禁止
        • 連邦保健省の基準を遵守。(具体的な施策については)基礎自治体は地域や組織の状況に合わせて、調整することができる。
        • 今季の学業成績評価は行わない。
        基礎自治体レベルの保護計画(抜粋)
        • 各クラスを2グループに分け、対面授業はこのグループ毎に行う。同居の兄弟姉妹のスケジュールは同じになるように調整する。
        • 幼稚園児は12コマ、小学生は14コマの対面授業を受ける。
        • 対面授業は(園児・児童が所属するグループによって)月・火もしくは木・金いずれかに行われる。
        • 対面授業がない日には、(自宅で行う)課題が与えられる。
        • 水曜午前中は、小学生は音楽ならびに工作のリモート授業を受ける。
        • 学校での休み時間は、全クラスが一斉にとるのではなく、グループ分けがなされる。
        • 初日は生徒は校庭に集合し、教師が教室まで連れて行く。
        • 保護者は、学校の敷地内は絶対に必要な場合にのみ立ち入りを許可。校舎には、いかなる場合も立ち入り不可。
        • いかなるものであれ、病気の症状がある場合は登校禁止。
        • 校舎入り口に消毒薬を設置。児童が校舎に立ち入る際には、手指消毒を行うこと。
        子供のクラス内グループ分けについても連絡がありました。保護計画にあった通り、子供は二人とも同じ日に通学するスケジュールです。

        5月1日(金)

        自治体の教育局から学童保育についての連絡。6月8日までは、次の条件を満たす子供のみ預かるとのことです。
        • 親が、社会的に不可欠の分野に従事している場合。
        • 親が、社会的状況から保育を必要としている場合。
        • 親が、自宅で仕事を行えない場合。
        • 父子家庭、母子家庭。
        • 住宅事情が窮屈な場合。

        5月7日(木)

        自治体の教育局から5月11日以降の授業について、さらに追加連絡がありました。
        • 児童は校舎に入る前には、必ず(クラス単位で)決められた場所に集合し、教師が引率して校舎に入る。その際には手指消毒を行う。
        • 音楽・工作のリモート授業の担当教員、ならびに授業時間帯について。
        • 発音矯正、ドイツ語補習授業について。
        また学校外の事についても注意喚起。
        • 放課後、児童は寄り道をせずに家に帰ること。
        • 通学ならびに学校の時間外に、他の子供たちと混ざり合わないこと。
        新聞報道によると、チューリッヒ州・市内の公共交通機関を運営している ZVV (Zürcher Verkehrsverbund), VBZ (Verkehrsbetriebe Zürich) が、乗客のマスク着用を推奨とのこと。

        スイスでは、これまでマスクをつけている人はほとんど見ませんでしたが、今後は状況が変わりそうです。

        雑感

        情報源

        在スイス日本大使館

        在留届を提出していると、新型コロナウイルスの感染者数や、スイス連邦・州からの重要な通達、日本が導入する入国関連の措置や欧州・日本間の国際線運行状況など、スイス在住者に関係する内容をメールで送ってくれます。

        最低限必要な情報がカバーされており、また連邦・州からの通達も短期間で翻訳して配信されていました。

        公式情報

        スイス連邦保健局がプレスリリースや統計情報を Web に載せているので、定期的に見ています。

        チューリッヒ州保健局のページは、州レベルの規則や対策がアナウンスされた時に見ています。私の場合は、主に学校関係で対策がアナウンスされた場合に読んでいます。

        マスコミ

        最初は Google News で目についた記事を読んでいたのですが、最終的にスイスの日刊新聞 Neue Zürcher Zeitung をオンライン購読することにしました。チューリッヒを拠点とする日刊新聞としては Tages-Anzeiger と並ぶ大手新聞社です。

        買い物

        スーパーマーケットは営業しているので食料品などは買えるものの、入場制限もあり、家族で仲良く出かけるというのは無くなりました。妻が一人で週に1〜2回出かけて、必要な食材をまとめ買いしています。

        妻によると、保存が効く冷凍食品や消毒薬などの一部の物が品薄気味だが、入手できなくなるほどではないとのこと。また土曜日は人が多く、入場制限数の上限に達して並んで待つことになったので、なるべく人が少ない平日朝早くに行くようにしているそう。

        食材以外は、すべてオンラインショッピングです。配送の遅延はありますが、それでも国内あるいはドイツからの配送物は数日以内に届くことが多いです。欧州外からの配送だと、郵便網を使うものは大幅に遅れましたが、FedEx, DHL は比較的速かったです。

        余暇

        子どもたちも、友達の家に行ったり、公園や学校で遊ぶことはできなくなりました。春先はよく山にハイキングに行っていましたが、それも中止です。

        幸いマンションの敷地内(屋外)に遊べるスペースがあるため、うちの子供はよく同じマンションの子どもたちと遊んでいます。戸数が少ないマンションなので、遊び相手になるのは常に特定の数家族の子供です。スイスの基準に照らして、私の子供には
        1. 他の家庭の家に入るのは禁止
        2. 帰宅後はすぐに手洗い
        3. 子供同士で遊ぶときには距離を保つように
        と言っていますが、1, 2 はともかく、3 は完全には遵守できていないのが実情です。

        商店が閉鎖され学校も閉鎖されている状況下では、マンション内の子供同士は「家族」「同一マンションの子どもたち」という2グループに属するだけですが、徐々に社会生活が再開されていく段階になると「学校のクラスメート」というグループにも属すことになり、また接触頻度は低いとしても商店・レストランでの感染の可能性も出てきます。現実問題としてどこまで出来るかは何とも言えませんが、今後はマンション内の子供同士の接触も、より厳しく管理していく必要があるのかもしれません。

        なお外出自体は禁止されていないため、時間があるときには、子供と一緒に近所を散歩したりサイクリングしています。

        小学校の遠隔授業

        他の親の話を聞くと、私の住んでいる自治体は比較的早い時期から体系だった遠隔授業が行われたようです。近隣自治体だと学校閉鎖からイースター休暇の間、遠隔授業が一切行われなかったところもあるようです。

        ただし、親の負担は大きいです。

        ビデオ会議を行うための PC やタブレットの操作は子供に任せられないため、遠隔授業の最中は親が隣についている必要があり、プリントの印刷や課題を提出する際にも親が手伝うことになります。
        課題が出るといっても、課題によっては親と一緒に行うことが前提のものもあり、また放っておけば子供は勉強ではなく別のことをして遊び始めるため、うまく誘導(あるいは監視)する必要があります。また、子供が分からない所があれば質問を受け付けて、噛み砕いて説明する必要があります。

        子供によって差はあると思いますが、私の感覚だと子供一人につき毎日二時間、うちは二人いるので四時間は小学校の課題に時間を割く必要があります。必ずしも集中して連続四時間とはいかず、途中で子供が飽きてしまったり食事の時間が入ったりで、日中は断続的に時間が割かれます。

        在宅勤務

        子供がいると難易度が上がります。

        私はソフトウェアエンジニアで、もともと US や台湾のエンジニアとのやり取りも多かったので在宅勤務向きの業務内容なのですが、それでも自宅で子供の勉強の様子を見たり、子供が不定期に割り込みを掛けてくる(自転車に乗っていたら転んで怪我をしたとか)状況だと、集中力が必要な仕事をこなすのは難しいです。あとは気軽に近くのエンジニアに話をできないのも、問題解決の時間が長くなる原因。

        会社で仕事をしているのと比べると、子供が家にいる状態でのパフォーマンスは40%以下、妻が子供を連れて外に出てくれると80%というところ。

        その他

        新型コロナウイルスに関して連邦・州から多くの通達があり、また学校からも遠隔授業についてなど通常よりも多くの連絡が届きます。私はドイツ語の文章なら読めますが、日本語を読むのと比べると時間がかかるため、大量の文書が一度に届くとその処理にどうしても時間を食われます。

        2020年3月8日日曜日

        さようなら、新潮社フォーサイト

        1990年代から新潮社の「フォーサイト」を購読してきましたが、先日、解約しました。

        「フォーサイト」は国際情勢や日本の政治・経済情勢を中心に取り扱う会員制の月刊誌として創刊されました。一冊あたり新書二冊分程度と限られた分量ながら、重要な話題は遺漏なく抑えつつ、アメリカ同時多発テロが発生する前からアルカイダに関する記事を掲載するなど、情報の取捨選択や分析に独自の強みがありました。

        しかしながら雑誌衰退の流れには逆らえず、2010年に紙媒体としては休刊。その後、有料の Web メディアとして再開され、編集長交代を経て今に至ります。

        紙媒体の頃は、新聞を毎日読むよりも「フォーサイト」を月に一冊読んだ方が質の高い情報を得られた程ですが、最近は内容の信憑性や分析に疑問を感じる記事が散見されるようになりました。
        私は国際関係や経済は専門ではないので、記事に疑問を感じても、それが私の認識不足によるものか記事がおかしいのか自信を持って判断できないこともありましたが、暗号通貨や新型コロナウィルスなど、私が正否を検証可能な記事で明らかに誤った記述が複数確認されたため、解約することにしました。

        雑誌は執筆陣や編集部の入れ替わりもあるので、たとえ同じ出版社・誌名の下で刊行されていても、時代を超えて同じ価値を提供し続けるのは難しいのでしょうね。

        2019年12月3日火曜日

        2019/20 スキープレシーズン

        スイスのスキー場は12月半ばから本営業開始のところが多いですが、降雪状態に応じて11月から一部コースの営業が始まります。今年も何箇所か行ってきました。

        Andermatt Gemsstock(11月16日)

        チューリッヒから駐車場まで車で1時間20分、そこからゴンドラに乗ってスキー場に上がります。アンデルマットは元々は平凡な山村でしたが、軍演習場の閉鎖に伴い、海外から大規模資本を導入して観光地としての再開発が進行中。

        参考記事: 高級山岳リゾートへ変貌する山村アンデルマット

        この日は Gemsstock という山にある中上級者向けコースのみオープン。

        午前中まで雪が降っていたこともあり、Gemsstock 山頂からレストランがある Gurschen までのゲレンデはあまり圧雪されていない状態。楽しいけど足が疲れます。Gurschen 周辺のコースは圧雪されたパウダースノーでした。


        Zermatt Trocknersteg (11月23日〜25日)

        チューリッヒからツェルマットの街まで電車で3時間。金曜日の仕事を早めに切り上げて電車に乗り、土〜月曜日まで滑ってきました。

        ツェルマットのスキー場はスイス・イタリア国境にまたがっており、スイス側は Sunnegga, Gornergrat, Trockener Steg / Klein Matterhorn と大きく3つに分かれます。この時点でスイス側で営業しているのは最後の Trockner Steg / Klein Matterhorn エリアのみで、イタリア側は土日は強風のため閉鎖、月曜日のみ滑走可でした。

        街中を電動バス(スキーリフト券があれば乗車無料)が巡回しており、滞在先のホテル近くのバス停から乗車して Trockner Steg 行きのゴンドラ乗り場に向かいます。

        Klein Matterhorn の標高は 3,883m と富士山より高く、その下の Trockner Steg でも 2,939m に位置するため、早い時期から十分な量の雪が積もります。

        一部営業とはいえスキーエリアは広大で、イタリア側までオープンした月曜日は総ゲレンデ長 130km 弱に達しました。スイス側はしっかり圧雪されていましたが、土日クローズしていたイタリア側は非圧雪状態のコースも多かったです。

        スイス側は中級者向けコースのみ営業、イタリア側は初心者コースも空いていましたが、アクセするには中級者コースを通る必要があり一部は非圧雪なので、初心者には難しい。雪質もよくコースも広いので、中級者以上なら楽しめます。


        Jungfrau Mürren / Schiltron(12月1日)

        チューリッヒから駐車場がある Stechelberg まで車で1時間45分、そこから大型ゴンドラを乗り継いで Birg に向かいます。

        この日は初心者コースが1つ、中級者コースが2つと、最後に街に降りるための上級者コースが1つ営業していました。街から Birg に上るゴンドラは30分に1本なので、上級者コースは繰り返し滑るのではなく、その日のスキーを終わって帰るときに1度だけ滑る用です。

        この日は、まだパラレルではなくハの字のボーゲンで滑る下の子供も連れて行ったのですが、初心者コースを楽しんでいました。

        天候は雪でしたが、スロープの雪面はけっこう固め。中級者コースは、しっかりエッジをかけて左右に向けてスピードをコントロールするか、あるいは雪面を削りながらスピードを落として滑る感じでした。

        写真は、最後に上の子供と一緒に街まで滑って降りて来た際のもの。Birg 周辺は森林限界を超えているので、木はありません。


        2019年11月1日金曜日

        チューリッヒ州で自動車の所有にかかる税金

        スイス連邦チューリッヒ州で自動車を登録しナンバープレートを受け取っていると、車種(自家用車、貨物自動車、オートバイなど)、排気量と車両総重量に応じて税金が課されます。

        日本の自動車税と自動車重量税に相当し、基本的に大きな車ほど税額が大きくなるのは同じですが、チューリッヒでは高級車が割高になるように設定されています。

        参考

        以下のチャートは、2020年の税額を 1 CHF = 110 JPY の為替レートで描いたものです。

        自動車税


        日本では低排気量の小型車でも最低29,500円で、また排気量が増えても税額の上昇はなだらかなのに対して、チューリッヒでは排気量1,200cc未満の小型車は CHF 69.00(約7,600円)と低く抑えられているのに対して、排気量が大きくなると急激に税額が増えます。

        特に排気量2,500ccに大きなギャップがあり、この先は税金がぐっと高くなります。今だと排気量の目安はコンパクトカーで1,500cc、ファミリーカーで2,000cc、大人4人が乗って高速道路を走る場合でも2,500ccあれば十分なので、その上のクラスになると高級車・高性能スポーツカーです(ターボエンジンの場合にはさらに小排気量で十分です)。

        日本と同様にエコカーには減税がありますが、基準が厳しく、通常のエンジンを搭載した車両では達成困難です。電気自動車もしくはプラグインハイブリッド車向け。

        自動車重量税

        自動車税と同様に、日本では重量が増えるに従ってなだらかに税額が上がっていくのに対し、チューリッヒは車両総重量 2,200kg を超えると急激に税額が増えます。

        高級車は同じサイズの車でも重くなる傾向があります。大人4人が乗って快適に移動できるクラスの車だと、たとえばマツダのアテンザワゴン XD Lパッケージ (4WD) で1,965kgですが、高級車の BMW 530d xDrive だと 2,530kg になります。

        車両総重量 2,200kg は定員5名以下の乗用車というカテゴリで、大衆車と高級車を区切る目安ですね。

        納税方法

        新車購入時には、年末までの税金を支払います。自動車を登録しナンバープレートを受け取ると、後日、州の交通局から請求書が送られてきます。

        自動車を既に保有している場合、1月3日時点での保有者が1年分の税金を支払う義務があります。前年の10月末〜11月頭にかけて、その時点での保有者に対して請求書が送られてきます。

        e-Bill という電子請求書システムに登録しておくと交通局からの請求書がオンラインバンキングシステムに直接届き、システム上で承認すると、1月3日付けで振込を行うように送金予約がされます。

        Abgabe, Steuer それとも Gebühr?

        ドイツ語では税金は Steuer ですが(例:所得税 Einkommensteuer, 消費税: Mehrwertsteuer)、チューリッヒ州では自動車税・自動車重量税は Steuer ではなく Abgabe、特にこの場合は Verkehersabgabe と呼びます。

        Steuer と Abgabe の違いですが、ドイツ語では租税公課全般を Abgabe と呼び、その中でも特に国・地方自治体に納める税金のみを Steuer と呼びます。
        自動車税は州交通局 (Strassenverkehrsamt) に納めるので Steuer でも良さそうなものですが、 Verkehersabgabe と呼ばれています。一方で、船舶の所有にかかる税金は Schiffssteuer (船 Schiff + 税 Steuer) です。

        なお州交通局に支払う租税公課でも、運転免許証の発行など一度きりの特定の作業への対価は手数料 (Gebühr) と呼びます。Gebühr は国や自治体に限らず、企業などが提供するサービスに対しても普通に使われます。

        2019年10月2日水曜日

        現在を基準とする相対日時表現

        日本語

        子供の日本語の宿題を手伝っていて、日時を表す日本語の表現は意外と複雑な事に気づきました。

        今を基準として、それより2単位前、1単位前、1単位後、2単位後でそれぞれ特別な名前がついています。
        たとえば「月」と「週」だと今を表すのは「今月」「今週」ですが、1つ次は「来月」「来週」で1つ前は「先月」「先週」と、それぞれ決まった文字が頭につきます。表にすると、この通り。

        単位-2-10+1+2
        先々再来
        先々再来

        ここまでは、規則的ですね。

        しかし次に「年」を考えると、「今年」「来年」「再来年」は同じルールだけど、昔のほうは「去年」「一昨年」と、ルールに当てはまらなくなる。発音も「週」「月」は常に「しゅう」「げつ」だったのに対して、「年」は「ねん」と「とし」になる場合がある。

        単位-2-10+1+2
        先々
        せんせんしゅう

        せんしゅう

        こんしゅう

        らいしゅう
        再来
        さらいしゅう
        先々
        せんせんげつ

        せんげつ

        こんげつ

        らいげつ
        再来
        さらいげつ
        一昨
        おととし

        きょねん

        とし

        らいねん
        再来
        さらいねん

        さらにひどいのが「日」で、頭につく文字も他と異なり、読みも特殊。

        -2 だけは「一昨日(おととい)」「一昨年(おととし)」で共通しています。大辞泉によると「一昨日(おととい)」は「遠つ日(おとつひ)」、「一昨年」は「遠年(おちとし)」の音変化らしいので、元からあった言葉に、後から漢字表記だけ当てはめたんでしょうね。

        注意が必要なのが「先日」。多くのケースで「先」は -1 を意味しますが、「先日」は特殊で数日前を意味します。

        単位-2-10+1+2
        一昨
        おととい

        きのう

        きょう

        あした
        明後
        あさって
        先々
        せんせんしゅう

        せんしゅう

        こんしゅう

        らいしゅう
        再来
        さらいしゅう
        先々
        せんせんげつ

        せんげつ

        こんげつ

        らいげつ
        再来
        さらいげつ
        一昨
        おととし

        きょねん

        とし

        らいねん
        再来
        さらいねん

        また「日」に関してのみ +3, +4 も特別な名前がついています。私の故郷だと+3日は「しあさって」で +4日は「やなさって」ですが、地方によっては逆になったり異なる呼び方をする場合もあるので、地元の人と話すとき以外は使わないほうが無難。

        最後に「世紀」も追加。過去は他とルールが異なり「前」を使い、さらに +1 は「来世紀」なのに +2 で「再来世紀」にならないという特殊ケース。一般には「前」を使うと、現在ではなくなにか別の基点が設定されることが多いですが(例:試験の「前日」)、世紀だけは現在基準でも「前」を使います。

        単位-n-2-10+1+2

        せんじつ
        一昨
        おととい

        きのう

        きょう

        あした
        明後
        あさって
        先々
        せんせんしゅう

        せんしゅう

        こんしゅう

        らいしゅう
        再来
        さらいしゅう
        先々
        せんせんげつ

        せんげつ

        こんげつ

        らいげつ
        再来
        さらいげつ

        一昨
        おととし

        きょねん

        とし

        らいねん
        再来
        さらいねん
        世紀
        前々
        ぜんぜんせいき

        ぜんせいき

        こんせいき

        らいせいき

        ドイツ語

        ドイツ語だと日に関しては特別な名前がついていますが、それ以外は「次」とか「前」を意味する形容詞をつけるだけで、「週」「月」「年」「世紀」すべてに同じ形容詞が使えます。

        • -2 vorgestern
        • -1 gestern
        • 0 heute
        • +1 morgen
        • +2 übergestern

        週、月、年、世紀

        • -1: letzt, vergangen, vorig
        • +1: nächst, kommend, folgend
        たとえば来週なら nächst (+1) と Woche (週) を組み合わせて nächste Woche、先週なら letzt と組み合わせて letzte Woche という具合。(ドイツ語では形容詞の形が次にくる単語や文章中での役割によって若干変わるので、この場合は -e がついてます)

        letzt と nächst が一般的ですが、他の単語も使えます。

        -1
        • vergangen: 動詞 vergehen の Partizip II 「過ぎ去った」
        • vorig: 形容詞「直前の」
        +1
        • kommend: 動詞 kommen の Partizip I 「来たる(べき)」
        • folgend: 形容詞「次の」
        動詞を形容詞的に使うには Partizip(分詞)にしますが、-1 は過去の話なので Partizip II になり、+1 は未来の話なので Partizip I になります。

        英語

        英語、昨日・今日・明日のみ特別な名前がついていて、一昨日や明後日は「昨日の一日前」「明日の一日後」と表します。

        • -2 the day before yesterday
        • -1 yesterday
        • 0 today
        • +1 tomorrow
        • +2 the day after tomorrow

        週、月、年、世紀

        • -1 last, past, previous
        • +1 next, comming, following
        例えば先週は last と week (週) で last week、来週なら next と組み合わせて next week が一般的。

        ドイツ語と対応する他の単語も使えます。英語だとドイツ語の Parizip I が present particle, Partizip II が past particle に対応するので、ドイツ語の場合と同じように並べると下記の通り。

        -1
        • past: 動詞 pass の past particle「過ぎ去った」
        • previous: 形容詞「直前の」
        +1
        • comming: 動詞 come の present particle 「来たる(べき)」
        • following: 形容詞「次の」
        こうして見ると、英語が一番簡単ですね。

          2019年9月24日火曜日

          ドイツ語 bereit の使い方

          用法

          ドイツ語の bereit を「準備ができている」という意味で使う場合。

          zu 不定詞
          • Ich bin (schon) bereit zu gehen.
            私は出発する準備できている。
          für + Akkusativ
          • In bin bereit für die Reise.
            私は旅行の準備ができている。
          • Ich bin bereit für den Sommer.
            夏への準備が出来ている。
          zu + Dativ

          基本的には名詞と組み合わせる場合には für + Akkusativ ですが、名詞の中でも「出発する」といった直接的な動作・状態変化を表すものに対しては zu + Dativ も使われることがあります。
          • Wir sind bereit zur Abfahrt. / Wir sind bereit für die Abfahrt.
            (鉄道会社が自社の電車について)発進できる状況になっています。

          個人的な発見

          初めて見かけた例文が zu + Dativ だったので、これが普通かと思って覚えていたら、むしろ例外ケースでした。

          なお、一般には zu + Dativ を組み合わせると bereit の意味が「準備ができた」という客観的な状態ではなく、「進んで何かをする、喜んで〜するつもりがある」といった意思の表明に変わります。
          • Ich bin bereit zur Aussage vor dem Gericht.
            私は法廷で喜んで証言するつもりだ。
          • Wir sind dazu bereit, Ihr neues Auto zu finanzieren.
            (自動車購入希望者に対して)喜んで新車ローンを提供いたします。

          2019年9月15日日曜日

          週末の過ごし方

          土曜日

          村役場前の広場で Herbstmärt が開かれていたので、子供と出かけてきました。標準ドイツ語だと Herbstmarkt で、秋の市(いち)という意味。広場に出店が並び、子供向けの人形劇なども上演されます。

          小さい村なので出店もそれほど多くありませんが、食べ物に加えて、花、チーズ、蜂蜜などが売られていました。子供は、小学校や学童保育で一緒の友達を見つけて楽しく過ごしていました。

          帰宅後、子供と一緒に「不思議の海のナディア」第2話を鑑賞。子供には年齢的に少し早いかと思ったけど、しっかり見入っていたので週一ぐらいで継続予定。

          日曜日

          午前中は Seilpark Zürich に。

          いわゆるアスレチックコースですが、子供向けのコースでも高度が3-5m 程度あります。落ちると命に関わるため、専用のハーネスを装着した上で、常に安全鋼索にハーネスをつなげた状態でコースを回ります(公式イメージフィルム

          初回だったので講習を受けてからの参加。一緒に子供向けコースを回りましたが、良い運動になりました。子供は「また来たい」とのこと。

          午後はチューリッヒ空港北側の駐車場に車を置き、積んできた自転車を下ろして空港を一周してきました。約17km。

          自転車は写真のように、車の後ろと屋根に合計3台積載して、小さすぎて屋根に固定できない一台をトランクに積んでます。


          空港の周りは自転車・歩行者専用道が整備されていて道も平坦なので、サイクリングやインラインスケートを楽しむ人が多いです。飛行機を間近に見られるポイントもあり、椅子を持参してきて飛行機を眺めながら読書する人や、あとは広いコースをインラインスケートでベビーカーを押しながら滑っている人も。

          移転します

          移転先:  https://blog2.issei.org/