免税での購入
日本でものを買うと消費税がかかりますが、これは日本で居住する人間の行政サービスを補うためのコストということで、海外居住者は支払いを免除されます。免税の条件
観光庁 Japan Tax Free Shop - 免税店とは?ただし全ての商品を免税で購入できるわけではなく、いくつか条件があります。詳細は上記の観光庁の Web サイトにありますが、特に重要なのは次の点です。
- 入国時にパスポートに日本入国スタンプを押印してもらう。
- 免税措置に対応した店舗で購入する。
- 消耗品、一般物品とも5,000円以上を同日中に一店舗で購入する。
- 免税で購入した物品は、確実に海外に持ち出す。
免税での購入は非居住者に限られているため、日本国パスポートの保持者は海外に居住しており、現在は一時帰国中であることを証明する必要があります。一般に販売店ではパスポートに押印された入国スタンプの日付を見て居住性の確認を行うため、日本入国時には必ず審査官のいるゲートを通過して入国スタンプを押印してもらってください。自動化ゲートを利用すると押印が省略されるため、免税での購入ができなくなります。
免税対応の店舗は、家電量販店、百貨店などに加え、最近は大手コンビニやスーパーでも増えています。特にスーパーだとイオンは全店舗で免税に対応しているため、私は良く食料品や子供服を滞在地近くのイオンでまとめ買いしています。後述しますが、免税手続きは対面で行われるため、残念ながら通信販売は対象外です。
物品は消耗品(食料品、医薬品など)と一般物品(家電製品、服飾品など)に分けられ、それぞれのカテゴリで 5,000 円以上購入した場合のみ免税手続きが可能です。食料品3,000円 + 家電製品 3,000 円だと免税できません。
また免税で購入した物品は、日本出国に際して海外に持ち出す必要があります。国内で使用する消耗品や、国内に残していく一般物品には消費税を支払う必要があります。
免税の手続き
店舗によって、購入時に消費税抜きの価格で支払いを行う場合と、一旦、消費税込みの額を支払った上で消費税額相当分を払い戻す場合があります。
いずれの場合も入国スタンプのあるパスポートを持参する必要があり、また店舗によっては海外の滞在許可証の提示が要求されます。
購入時に消費税抜きの価格で支払いを行う場合
大手だとユニクロとマツキヨがこの方式を採用しています。
購入する物品とパスポートを持って免税対応のレジに並び、海外居住のため免税で購入したい旨を申請します。店員がパスポートを確認の上で免税の手続きを行い、パスポートに免税で商品を販売した記録票をホチキスなどで留めます。
消費税相当額を後で払い戻す場合
購入の手続きは課税の場合と同様です。
買い物終了後に、店内にある免税カウンターに行き、パスポート、レシートと購入した物品を提示します。店員がパスポートとレシートを確認の上で免税の手続きを行い、パスポートに免税で商品を販売した記録表をホチキスなどで留めます。この際に、消耗品は国内で使えないように専用の袋に封印されます。
その後、現金で消費税相当額から手数料(店舗によって無料から1.1%程度)を差し引いた金額が払い戻されます。購入がクレジットカード払いであっても必ず現金で払われます。
なおクレジットカードで支払った場合にはクレジットカードの提示を求められる場合もあるため、単一名義のカードで払っておくのが確実です。家族で一緒に買物に行く際など、夫と妻のカードでバラバラに払うと合算できなくなる可能性があるため、どちらかのカードでまとめて払っておく方がおすすめです。
空港での手続き
空港の出国審査場の直前に、小さな税関のブースがあります。そこに購入した物品を見せるとともに記録票が貼り付けられたパスポートを提出し、物品が輸出されたと確認の上で記録表を税関で回収してもらいます。
なお、よほど高額な商品でなければ物品の確認は省略されます。食料品や衣料品などはかさばるため、普通は機内に持ち込まずスーツケースやダンボールに入れて預け入れ手荷物にすると思います。こうすると税関まで持っていけないため税関職員に商品を提示できませんが、パスポートの提示だけで大丈夫です。
免税購入の得失
消費税免税で購入すると消費税分だけ安く購入できるわけですが、一方で、デメリットもあります。
たとえば大手家電量販店で購入する場合、通常はポイント還元がありますが、免税で購入する場合にはポイント加算対象外となるのが一般的です。またオンライン通販専門業者は免税非対応ですが、そちらで買ったほうが消費税を支払っても安上がりになる場合もあります。
輸入手続き
禁制品
スイスには、日本からの肉や種子の持ち込みに制限があります。
食料品に関しては調理済みの缶詰やカレーのレトルトパックなどであれば大丈夫ですが、ハムや生肉などは原則として持ち込めません。種子に関しては日本人だとコメを持ち込みたいところだと思いますが、玄米や精米などの発芽能力がない状態であれば大丈夫なようです。
輸入関税の支払い
海外で購入した物品をスイスに持ち込む場合、免税限度額を超える物品については輸入時に税金を支払う必要があります。すべての物品に付加価値税 (MwSt, Mehrwertsteuer) が課税され、また酒類やタバコなど一部物品については追加で個別に税が課されます。
付加価値税額の計算
付加価値税の免税限度額は1人300CHFで、それを超える場合には輸入品全額に対して付加価値税が課されます。
税率は食料品、医薬品、書籍、雑誌などの軽減税率適用品は 2.5%、それ以外は 8.0% で、いずれも消費税抜きの金額を元に輸入当日の為替レートで計算されます。仮に通常税率適用の衣料品を500CHF、軽減税率適用の食料品を200CHF輸入する場合、付加価値税額は 500CHF × 8.0% + 200CHF x 2.5% で 45 CHF となります。
税金の計算ならびに支払手続きは、空港で荷物を受け取った直後にある税関の窓口で行います。通常は緑色の申告なしのレーンを通過すると思いますが、そうではなく赤色の申告ありのレーンに向かい申告となります。
特に書式の指定はないのですが、私は軽減税率適用品・通常税率適用品を分けた上で、次の項目を一覧にした書類を作って税関に提出しています。
- Laden (購入店舗)
- Kategorie (商品分類)
- Artikel (物品)
- Preis ohne MwSt (消費税抜き金額, 日本円建て)
税関職員が免税枠と当日の為替レートを計算の上で、課税額を計算してくれます。この際に
- 荷物に肉はあるか? (Gibt es einen Fleisch darin?)
- (商用ではなく)個人で消費するのか? (Verbrauchen Sie dies privat?)
などと質問される可能性があります。
なお家族で旅行している場合、税関職員の方で個々人の免税限度額を考慮してくれます。たとえば上と同じ商品を親と子ども2人連れが持ち込んだ場合、子どもが免税限度額上限の衣料品300CHFを持ち込んで親が残りを持ち込んだと仮定して、残りの衣料品 200CHF と食料品 200CHF にのみ課税されます。
税金は現金以外にクレジットカードでも支払い可能です。
書類作成に関する Tips ですが、税関職員としては、軽減税率適用品の合計額と通常税率適用品の合計額が分かれば十分なようです。混ぜて書くと一律 8% で計算されるので分けましょう。また私は念のために領収書や納品書など金額・店名が入ったもののの原本もすぐに出せる状態で用意していますが、今のところ提示を要求されたことはありません。
金額のフォーマットはスイス式にして通貨を明示しておくと不要な混乱を避けられます。日本だと金額 3 桁ごとの区切りにカンマ (,) を使いますがスイスだとアポストロフィ(') を使い、また日本円を示す¥記号には馴染みがないため JPY と書いておきます。
空港から自宅への荷物搬送
家族連れで手荷物許容量上限の荷物を持ってくると、空港から自宅まで一度に持ち帰れない量になることがあります。
その場合、空港内の Die Post から自宅あてに発送することが可能です。またスイスインターナショナルエアラインズ利用時に限定されますが、成田空港で預け入れた荷物を自宅まで直接配送する SBB: Door-to-door flight luggage service もあります。
自家用車、もしくはカーシェアリングを利用するのであれば、空港内のコインロッカーもしくは有人手荷物預かり所にひとまず荷物を預けておき、後日、引き取りに来る方法もあります。