2014年10月19日日曜日

スイスから隣国に買い物に行く際の税金の扱いについて

スイスはドイツ、フランス、イタリアなどと陸続きですが、いずれもシェンゲン協定に加盟しており入出国審査が省略されます。国境にはかつての名残で検問所がありますが、日本の有料道路料金所のような作りで、基本的には審査もなく車に乗ったまま簡単に通過できます (ストリートビューで見る)。

日本では外国に行くというと大事ですが、スイスでは物理的にアクセスが容易なのと、また隣国のほうが物価が安いという事情もあり、週末になると外国まで車で買い出しに出かける人を多く見かけます。たとえばバーゼルから出国してすぐの Weil am Rhein にあるショッピングモール Rhein Center などは、まさにスイスからの越境ショッピング客をターゲットにした立地です。

スイスから出国し、日用品を購入して戻ってきた場合の税金関係の手続きに関して、必要があって調べたのでまとめておきます。(2014/10/19現在)

たとえばドイツで日用品を購入しスイスに持ち込む場合、ドイツで商品代金と一緒に支払う VAT (付加価値税) の扱いと、スイスに輸入する際の VAT 支払いが問題になります。
結論から書くと、ドイツでは商品の代金とともに VAT を支払う必要がありますが、後日一部還付を受けられます。またスイスでは、週末に買い出しに行く日用品程度であれば免税です。

ドイツ VAT還付条件
  • 1店舗における購入額が EUR 25 以上 
    • 2015年1月31日追記: 払い戻しを代行業者に依頼する場合には手数料の関係で最低額がありますが、自分で行う場合には2019年末までは下限はありません。
    • なお2020年から当面の間、1店舗あたり EUR 50 以上の場合のみ払い戻しの対象となります。その後、スマートホンアプリを利用した新システムの稼働が予定されており、新システム導入後には再び下限が撤廃される見込み。
  • 当該店舗が tax free shopping に対応していること
  • 購入者が非 EU 圏に居住しており、国外に持ち出して個人で使用する物品であること。
  • VAT 還付対象品目であること(サービスや自動車関連用品は対象外)
スイス関税免除条件
  • 輸入総額が1人1日あたり CHF 300 以下であること
    • 超えた場合には、超過分だけでなく全額に対してスイス側の VAT がかかる。税率は一般品目7.7%、特定品目(食料など)2.5%(2019年3月31日追記: 2018年に一般品目の税率が8%から7.7%に下がりました)
  • 個別品目の上限を超えないこと
    • 超えた場合には、その品目に対してだけ個別に税金がかかる
    • 免税範囲 (1人, 1日あたり)
      • 肉 1kg (狩猟で得たのもは除く)
      • バター・クリーム 1kg
      • 油・脂肪・マーガリン 5kg
      • アルコール飲料 (アルコール度数18%未満) 5l (17歳以上)
      • アルコール飲料 (アルコール度数18%以上) 1l (17歳以上)
      • タバコ類 250本
手続
  1. 店舗で購入時に、免税申請書類 (Ausfuhr- und Abnehmerbescheinigung für Umsatzsteuerzwecke bei Ausfuhren im nichtkommerziellen Reiseverkehr) を発行してもらう。"Ausfuhrschein, bitte" と言えば伝わります。店員が店舗名、購入した物品の品目・価格などを記入する。
  2. 受け取り後、自分の住所、氏名、パスポート番号などを記入する。
  3. ドイツ出国時にドイツ税関でパスポート、スイス滞在許可証、免税申請書類を提示し、免税申請書類に証明印をもらう。本来は輸出物品の提示も必要だが、特に車で来ている場合は「駐車場の車に置いてある」と言えば了解してもらえることが多い。
  4. 後日、購入店に免税申請書類を渡して VAT の還付を受ける。
    • 定期的に訪れるようなショッピングモールであれば、次回の買い物の時に免税申請書類を持っていけばいい。
    • 郵送で受け付け還付金を銀行振込する店舗や、特定の手続代行業者を介してのみ VAT 還付申請を受け付ける店舗もある。
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