スイスに長期滞在する、たとえばスイスの大学で学んだりスイスの企業に就職する場合でも、日本人は査証(ビザ)を取る必要がありません。では何も手続きがいらないのかというと、そんなことはありません。
一般に外国への入国に際しては、査証、滞在許可(在留許可)と就労許可の 3 つが必要となります。ただし国によって査証の発給=滞在許可だったり、目的によってはいくつか免除されていたりするので、話が混乱しがち。
整理しましょう。
査証とは、外国に入国する際に必要となる書類の一つです。一般には、入国を希望する旅行者が事前に自国あるいは居住国にある在外公館に申請を行い、受入国側が審査の上で入国させても問題ないと判断された場合に発給されます。なお、査証が発給されていても入国審査で拒否される可能性はあります。
滞在許可とは外国に滞在する許可です。入国を許可されても、無限にその国に滞在できるわけではありませんし、滞在地などにも制約が課されることがあります。
最後に就労許可とは、外国で収入を伴う活動を行うことに対する許可です。観光・留学や年金や投資からあがる資金を利用しての滞在ではなく、その国で仕事に就く場合に必要になります。
では、いくつか事例をもとに見てみましょう。
観光や仕事目的でのスイスに90日以内の滞在
日本人であれば査証は不要、90日以内であれば滞在許可も不要です。観光や、仕事であっても会議への出席など収入を伴う作業に従事することがなければ、就労許可も不要。つまりパスポートだけ持っていけば OK です。
日本からスイスの企業に1年間派遣される(海外赴任)
日本人であれば査証は不要ですが、滞在許可・就労許可が必要となります。滞在許可については、事前に然るべき手続きを行い、入国前に受け入れ先の州政府から「滞在許可の確約書」(Zusicherung der Aufenthaltsbewilligung) というものを取得しておく必要があります。入国後に、この書類を持って役所に行き登録を行うことで正式な滞在許可書が発行されます。就労許可は、スイス側の受け入れ先企業が州政府の移民局から取得する必要があります。
滞在許可にはいくつかの種類がありますが、このケースでは短期滞在向けで、更新回数に制約があるL滞在許可証が発行されることが多いようです。
スイスの企業に就職
このケースも海外赴任とほぼ同じ手続きとなりますが、発行されるのはL滞在許可証、もしくはB滞在許可証となります。最初にL滞在許可証が発行された場合、何度目かの更新時にB滞在許可証に切り替わるようです。B滞在許可証は1年間有効で更新可能。
L滞在許可証、B滞在許可証いずれも、原則として雇用先企業に紐付けられる形で発行されるため、転職は不可です。別のスイス企業に勤める場合には、滞在許可・労働許可を1から取り直し。また居住地も雇用先と同一州に限られるなど、いくつかの制限があります。
なおL滞在許可証が発給された場合、配偶者は就労できませんが、B滞在許可では配偶者の就労も認められます。
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