スイス在住者が日本に一時帰国する際の医療保険
なぜ一時帰国時の医療保険が問題なのか
日本にいると気にする必要がないけれど、海外在住になると真剣に考えないといけないのが一時帰国時の医療保険です。
日本居住者向け医療保険制度
日本に住んでいる場合、何らかの公的医療保険に加入することが義務づけられており、保険料以外に支払う必要がある金額は非常に低額に抑えられています(自己負担額は現役世代で三割で、また上限額も設定されています)。
一方で海外在住者が一時帰国する場合には原則として住民登録はできず、したがって住民向けの公的医療保険に加入することもできません。実際には担当者の裁量で短期滞在であっても住民登録ならびに国民健康保険への加入を認めることもあるそうですが、これは住民税を払わずに住民向けのサービスを受けるという話になるので、今後、対応が厳しくなることはあっても緩和されることはないと思います。
日本の医療機関からの請求額
日本の医療機関では、全ての医療行為に国が定める診療報酬点数が設定されています。たとえば初めて病院の外来を訪れると初診料282点、薬を処方すると68点で合計350点といった具合です。
患者が日本の公的医療保険に加入している場合、医療機関では1点あたり10円として、その一部(現役世代は3割)を患者本人に、残りを公的医療保険に請求します。上の例であれば総額3,500円のうち3割に相当する1,050円を患者本人が病院に支払い、残りの2,450円は病院から公的医療保険に請求します。
患者が日本の公的医療保険に加入していない場合、次の3点が異なります。
- 診療報酬点数1点あたり10円以上を請求しても構わない。
- 消費税がかかる。
- 医療費の全額を患者に請求する。
公的医療保険では診療点数1点あたり10円、労災保険では12円と法で定められていますが、自由診療の場合には単価を医療機関が自由に設定することができます。1点10円から25円程度に設定している医療機関が多いようです。
仮に1点20円に設定されている場合、体調を崩して医師に見てもらって薬を処方してもったというケースで350点×20円/点=7,000円に消費税8%を加えた7,560円かかることになります。薬代も含めると総額は1万円程度。
この程度なら払えなくはないですが、何度も通院が必要になると負担も大きくなりますし、万が一入院が必要となると、たとえば比較的簡単な盲腸(虫垂炎)の手術でも合計30,000点程度になるため65万円前後の出費が想定されます。可能性が低いとはいえ、万が一、現実のものとなると大きな金銭的負担が発生するため、何らかの保険をかけるのが妥当です。
スイス在住者が利用できる保険制度
基本医療保険 (KVG)
スイスも日本と同様に皆保険制度をとっており、スイス在住者は基本医療保険 (KVG) に加入することが義務付けられています。日本と異なり保険は民間保険会社によって提供されていますが、保険対象の医療行為と単価は国が定めており、また健康状態によらず同一の条件で加入できることが保障されています。
参考: スイスの医療保険 (1)
スイスの基本医療保険に加入している場合「海外でのケガや病気に対する緊急を要する治療」も保険金支払いの対象となり、費用もスイス国内で同等の治療行為を受けたときの2倍まではカバーされます。スイスは日本と比較して医療費が高いため、これで不足するケースは少ないと思います。
一方、基本医療保険で対応できないケースもあります。
- スイスと日本では承認されている治療方法や薬が完全に一致しているわけではない。したがって日本で標準的な治療を受け、薬を処方されたとしても、スイスの基本医療保険では保険対象外の可能性がある。
- 基本医療保険が対象とするのは、あくまで海外での発病や受傷なので、スイス出国前からの既往症は対象外。定期的な通院が必要な慢性病を抱えている場合や、出国前に怪我をして継続しての通院が必要な場合も保険対象外となる。
- 緊急の治療のみが対象となるため、緊急ではない場合には原則としてスイスに帰国して治療を受けることになる。(ある程度長期間の滞在だと帰国予定を繰り上げないといけなくなる可能性がある)
単なる海外旅行であればスイス国内で病気や怪我をしたら取りやめるという選択肢も十分に現実的ですが、日本人が一時帰国する場合に、それで取りやめとなると厳しいものがあります。
追加医療保険 (VVG)
スイスの保険会社は、基本医療保険 (KVG) に加えて、それではカバーされないリスクに対応する追加医療保険 (VVG) も販売しています。
参考: スイスの医療保険 (2)
追加医療保険は各社内容が様々ですが、たとえば大手医療保険会社グループ CSS が販売する Ambulantversicherung myFlex Premium を契約すると、海外における緊急時以外の通院 (Wahlbehandlungen) に関しても保険金支払いの対象となります。
海外旅行保険
海外旅行に関わるリスクをカバーする保険として海外旅行保険 (Reiseversicherung) がありますが、これも基本医療保険と同様に海外での発病や受傷が対象です。基本医療保険と比べると保険でカバーされる金額の上限や治療内容は広いですが、一時帰国での利用には適しているとは言い難い内容です。
将来展望
スイスで医療保険を提供している企業が、基本医療保険 (KVG) で海外における治療をカバーすべきだという提言をしています。スイス国内の医療サービスが高いため、隣国での治療を認めたほうが保険会社としても負担が少なくなる由。
参考: Kranke sollen sich im Ausland behandeln lassen
実際に法改正される目処は立っていませんが、これが実現すると助かりますね。
日本非居住者の RSU (制限付き株式) にかかる所得税申告
日本で勤務している間に RSU (Restricted Strock Unit; 制限付き株式) の権利付与を受け、その後で海外転出した場合、RSU が売却可能になった時点で日本への所得税納税が必要になります。先日はじめて自分で納税手続きを行ったので、その覚書です。
この記事は、以下の条件に合致する人にのみ役立つ内容です。
- 日本勤務時に、日本以外の企業(勤務先の親会社など)から RSU を付与された。
- その後に海外に移住し、移住後に株式の付与を受けた。
- 日本と居住国の間に、課税に関する特別な取り決めがない。
なおあくまで私の事例なので、個別の事例に関しては税務署や国際税務に強い税理士にご相談下さい。(なお税務署に問い合わせても、こういう稀な事例に詳しい人がいなくて大変でした)
RSU (制限付き株式) とは
RSU とは従業員に対する報酬の一種で、自社株を将来の一定期間にわたって定期的に従業員に与えるものです。たとえば「これから4年間、毎年6月末と12月末に2株ずつ与えます」というように会社が従業員に約束します。
会社の業績が好調で株価が上がれば従業員の収入も連動して増え、また途中で退社すると、その時点で付与されていない株の受給権利が失われるので、会社にとっては従業員の意欲向上と離職率低下の二つの効果が期待できます。
RSU にかかる税金
日本の税制上は RSU も単なる給与所得と見なされるので、日本居住者であれば確定申告時に給与総額に付与された株式を含めて所得税を計算するだけです。これが、非居住者になると話が少しややこしくなります。
国税庁 タックスアンサー No.2878 国内源泉所得の範囲
「非居住者及び外国法人については、日本国内で稼得した「国内源泉所得」のみが課税対象とされます。「国内源泉所得」には次のようなものがあります。
(中略)
(10) 給与、賞与、人的役務の提供に対する報酬のうち国内において行う勤務、人的役務の提供に基因するもの、公的年金、退職手当等のうち居住者期間に行った勤務等に基因するもの 」
ポイントは2つ。
- 非居住者であっても、「国内源泉所得」については日本の所得税課税対象となる。
- 給与所得のうち、国内において行う勤務に起因するもののみが国内源泉所得。
具体例として、2000年1月1日に「今年の12月末日に1株与えます」と会社から権利を付与され、その年の4月30日に海外転出したケースを考えます。この場合、何が国内源泉所得なのでしょうか?
RSU は、1月1日に権利が付与されてから12月31日に株の現物が付与されるまでの勤務に対する給与と見なされます。海外転出後の勤務は「国内において行う勤務」ではないため、この期間の勤務に起因する所得は国外源泉所得と見なされます。したがって12月31日時点で付与された株の付与時点での時価を、1月1日から出国直前の4月29日までを国内源泉所得、4月30日から12月31日までを国外源泉所得として日数で按分します。
仮に12月31日時点の株価が36.6万円だったとすると、居住者であった期間が120/366なので、12万円が国内源泉所得、残りの24.6万円は国外源泉所得となります。
居住者期間の国外源泉所得
なお居住者であっても、その間に短期海外赴任・出張していた場合、その間の勤務は「国内において行う勤務」ではないため、この期間に起因する所得も国外源泉所得となります。
例として、1月1日から2月28日まで海外出張しており3月1日に帰国。その後4月30日に海外転出したケースを考えます。この場合、居住者かつ日本国内で勤務していた3月1日から4月29日までの60日間に起因する所得のみが国内源泉所得とみなされ、6万円が国内源泉所得、残りの30.6万円は国外源泉所得となります。
なお、これは業務上の理由があって海外に滞在した期間であり、単に有給休暇で海外旅行をしたというような場合には当てはまりません。
納税手続き
非居住者に対して国内において国内源泉所得の支払いをするものは、支払いの際に所得税を源泉徴収して納付する義務があります(国税庁 タックスアンサー No.1885 非居住者等に対する源泉徴収の仕組み)。したがって RSU が支給される場合でも、支払元が日本企業であれば企業の側で税額を計算して源泉徴収されるため、受け取った側で手続きをする必要はありません。自分で納税手続きが必要なのは、支払元が外国企業の場合です。
納税に際しては、まず1月1日から12月31日までの全ての株式付与に対して、個々に
- 株式付与時での株価
- 株式付与時の為替レート(株が日本円建てでない場合)
- 権利付与から株式付与までの期間と、その内「国内において行う勤務」に該当する日数
を調べ、国内源泉所得の金額を計算します。件数が多いと、これが一番手間がかかります。
次に「所得税及び復興特別所得税の準確定申告書」を国税庁のサイトにある申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)のページからダウンロードし、指示に従って記入します。指示に従って記入すると、納税額が分かるようになっています。
最後に記入済みの準確定申告書を管轄税務署に届け出るとともに、税金の納付を行います。
海外から申告する場合、原則として日本にいる納税管理人が手続きを行うことになっていますが、海外から記入済みの準確定申告書を管轄税務署に郵送することで届け出ることも可能です。この際、
- 記入済みの準確定申告書
- 記入済みの準確定申告書のコピー
- 返信先住所を記入済みの返信用封筒
- 返信用切手
を同封すると、税務署で準確定申告書の写しに収受受付印を押した上で、控えを返送してくれます。海外にいて日本の切手が入手できない場合には国際返信切手券を購入して同封します。
税金の納付は、日本にある個人口座からの振替で行いました。事前に税務署に預貯金口座振替依頼書を提出しておくことで、当該口座からの引き落としとなります。(参考: 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続)
スイス在住者が日本一時帰国時に買い物をする際の手続き
海外に住んでいると、生活する上で日本の書籍や食料品などが欲しくなります。日本に一時帰国する機会がある場合、そこで買い込んで帰国時に預け入れ手荷物としてスイスに持ち込むのが安上がりですが、その際の手続について。
免税での購入
日本でものを買うと消費税がかかりますが、これは日本で居住する人間の行政サービスを補うためのコストということで、海外居住者は支払いを免除されます。
免税の条件
観光庁 Japan Tax Free Shop - 免税店とは?
ただし全ての商品を免税で購入できるわけではなく、いくつか条件があります。詳細は上記の観光庁の Web サイトにありますが、特に重要なのは次の点です。
- 入国時にパスポートに日本入国スタンプを押印してもらう。
- 免税措置に対応した店舗で購入する。
- 消耗品、一般物品とも5,000円以上を同日中に一店舗で購入する。
- 免税で購入した物品は、確実に海外に持ち出す。
免税での購入は非居住者に限られているため、日本国パスポートの保持者は海外に居住しており、現在は一時帰国中であることを証明する必要があります。一般に販売店ではパスポートに押印された入国スタンプの日付を見て居住性の確認を行うため、日本入国時には必ず審査官のいるゲートを通過して入国スタンプを押印してもらってください。自動化ゲートを利用すると押印が省略されるため、免税での購入ができなくなります。
免税対応の店舗は、家電量販店、百貨店などに加え、最近は大手コンビニやスーパーでも増えています。特にスーパーだとイオンは全店舗で免税に対応しているため、私は良く食料品や子供服を滞在地近くのイオンでまとめ買いしています。後述しますが、免税手続きは対面で行われるため、残念ながら通信販売は対象外です。
物品は消耗品(食料品、医薬品など)と一般物品(家電製品、服飾品など)に分けられ、それぞれのカテゴリで 5,000 円以上購入した場合のみ免税手続きが可能です。食料品3,000円 + 家電製品 3,000 円だと免税できません。
また免税で購入した物品は、日本出国に際して海外に持ち出す必要があります。国内で使用する消耗品や、国内に残していく一般物品には消費税を支払う必要があります。
免税の手続き
店舗によって、購入時に消費税抜きの価格で支払いを行う場合と、一旦、消費税込みの額を支払った上で消費税額相当分を払い戻す場合があります。
いずれの場合も入国スタンプのあるパスポートを持参する必要があり、また店舗によっては海外の滞在許可証の提示が要求されます。
購入時に消費税抜きの価格で支払いを行う場合
大手だとユニクロとマツキヨがこの方式を採用しています。
購入する物品とパスポートを持って免税対応のレジに並び、海外居住のため免税で購入したい旨を申請します。店員がパスポートを確認の上で免税の手続きを行い、パスポートに免税で商品を販売した記録票をホチキスなどで留めます。
消費税相当額を後で払い戻す場合
購入の手続きは課税の場合と同様です。
買い物終了後に、店内にある免税カウンターに行き、パスポート、レシートと購入した物品を提示します。店員がパスポートとレシートを確認の上で免税の手続きを行い、パスポートに免税で商品を販売した記録表をホチキスなどで留めます。この際に、消耗品は国内で使えないように専用の袋に封印されます。
その後、現金で消費税相当額から手数料(店舗によって無料から1.1%程度)を差し引いた金額が払い戻されます。購入がクレジットカード払いであっても必ず現金で払われます。
なおクレジットカードで支払った場合にはクレジットカードの提示を求められる場合もあるため、単一名義のカードで払っておくのが確実です。家族で一緒に買物に行く際など、夫と妻のカードでバラバラに払うと合算できなくなる可能性があるため、どちらかのカードでまとめて払っておく方がおすすめです。
空港での手続き
空港の出国審査場の直前に、小さな税関のブースがあります。そこに購入した物品を見せるとともに記録票が貼り付けられたパスポートを提出し、物品が輸出されたと確認の上で記録表を税関で回収してもらいます。
なお、よほど高額な商品でなければ物品の確認は省略されます。食料品や衣料品などはかさばるため、普通は機内に持ち込まずスーツケースやダンボールに入れて預け入れ手荷物にすると思います。こうすると税関まで持っていけないため税関職員に商品を提示できませんが、パスポートの提示だけで大丈夫です。
免税購入の得失
消費税免税で購入すると消費税分だけ安く購入できるわけですが、一方で、デメリットもあります。
たとえば大手家電量販店で購入する場合、通常はポイント還元がありますが、免税で購入する場合にはポイント加算対象外となるのが一般的です。またオンライン通販専門業者は免税非対応ですが、そちらで買ったほうが消費税を支払っても安上がりになる場合もあります。
輸入手続き
禁制品
スイスには、日本からの肉や種子の持ち込みに制限があります。
食料品に関しては調理済みの缶詰やカレーのレトルトパックなどであれば大丈夫ですが、ハムや生肉などは原則として持ち込めません。種子に関しては日本人だとコメを持ち込みたいところだと思いますが、玄米や精米などの発芽能力がない状態であれば大丈夫なようです。
輸入関税の支払い
海外で購入した物品をスイスに持ち込む場合、免税限度額を超える物品については輸入時に税金を支払う必要があります。すべての物品に付加価値税 (MwSt, Mehrwertsteuer) が課税され、また酒類やタバコなど一部物品については追加で個別に税が課されます。
Eidgenössische Zollverwaltung - Einfuhr in die Schweiz
付加価値税額の計算
付加価値税の免税限度額は1人300CHFで、それを超える場合には輸入品全額に対して付加価値税が課されます。
税率は食料品、医薬品、書籍、雑誌などの軽減税率適用品は 2.5%、それ以外は 8.0% で、いずれも消費税抜きの金額を元に輸入当日の為替レートで計算されます。仮に通常税率適用の衣料品を500CHF、軽減税率適用の食料品を200CHF輸入する場合、付加価値税額は 500CHF × 8.0% + 200CHF x 2.5% で 45 CHF となります。
定期券保有者がチューリッヒ近郊の相互直通運転路線を利用する際に必要となる切符
スイスの都市では、公共機関の運賃はゾーン制になっています。運行エリアを複数のゾーン(区画)に分けて、経路上に幾つの区画が含まれるかで運賃が決まります。たとえばチューリッヒ州だと、市内は Zone 110 で南に行くと 140 (チューリッヒ湖東岸) や 150 (チューリッヒ湖西岸) になります。
参考: チューリッヒ交通組合 区画マップ
定期券もゾーン単位で発行されるのですが、定期券所有者が定期券でカバーされていない隣接するゾーンに出かける場合には、通常のチケットの代わりに定期券と合わせて使える Anschlussbillette (ゾーン延長チケット) を買うことができます。たとえばチューリッヒ市内の Zone 110 で有効な定期券を持っている人が隣の Zone 150 に出かける場合、Zone 150 の通常チケットを買う代わりに 1 区間延長チケットを購入して定期券と合わせて使えます。(そのほうが安い)
通常はこれだけで特に複雑なことはないのですが、これがチューリッヒ交通組合が管轄しているエリアから、他のエリアまで相互直通運転で行くと、話がややこしくなります。
Sie haben einen Z-Pass und wollen in einem der beteiligten Verbünde weiterfahren? Dann brauchen Sie einen regulären Fahrausweis dieses Verbundes ab der nahtlos an Ihren Z-Pass angrenzenden Zone.
Ausnahme: Das gilt nicht, wenn das Verkehrsmittel im Verbund der Weiterfahrt innerhalb des Gültigkeitsbereichs Ihres Z-Passes nicht hält (z. B. bei einem Schnellzug ohne Halt, siehe Beispiel). In diesem Fall benötigen Sie einen Fahrausweis ab dem letzten Halteort.
チューリッヒ近郊スキー場事情
スイスのスキー場事情について、チューリッヒ近郊を中心に。
スイスでの冬の楽しみといえばスキー場です。ゲレンデでのスキー・スノーボードはもちろんですが、クロスカントリースキーやソリ、ハイキングのコースも用意されており、スキーやスノーボードをしない人でも楽しめます。
スイスのスキー場は世界的にも有名な滞在型リゾートから、日帰り利用も多い地元の人向けの場所まで様々。
前者はある程度の期間滞在することが想定されており、冬のシーズンにはホテルでは最低宿泊日数が設定されていることも多いです。チューリッヒからだとアクセスに時間がかかりますが、風光明媚なところが多く、また街には多くのレストラン・ホテルなどがあり、長期でも飽きることなく快適な滞在を楽しめます。
一方、後者には日帰りで来る人もいれば、近くのホテルやアパートを借りて連日来る人もいます。スイスの義務教育過程では新春にスキー休暇が1週間ほど設定されており、それに合わせて子連れで来ている人も多いです。なおスキー休暇の日程は全国一律ではなく場所によって異なり、一斉休暇でスキー場が混雑しすぎないように配慮されています。
ここでは滞在型リゾートではなく、主にチューリッヒから日帰りでアクセスできる距離にあるスキー場について書きます。なお、スキー場内にある施設やゲレンデマップの見方については滞在型リゾートでも変わらないので参考になると思います。
スキー場へのアクセス
スイスは公共交通機関が発達しており、鉄道・バスでスキー場に行くことも可能です。週末になるとスキーブーツを履いて電車に乗っている人もよく見かけます。ただしスキー場はどうしても山がちなところにあり幹線からは離れるため、車があったほうがアクセスは楽です。
なお滞在型リゾートだと、逆に車よりも公共交通機関の方がアクセスが容易だったり、街全体が環境保護のために自動車乗り入れ禁止の所もあります。
チューリッヒ自体はそれほど標高が高くなく雪も積もらないためスキー場はありませんが、車で1時間半以内でアクセスできるスキー場だけでも選択肢は豊富にあります。
私は主に Meiringen-Hasliberg を利用しています。ここはスキー・スノーボード用のゲレンデに加えてソリ用の長距離コースも隣接しているため、まだスキーをしない小さな子供とソリ滑りするのに便利なのと、リフトを使わない子供用の短距離スキーコースがあり、スキーを始めたばかりの子供と一緒に滑れるためです。
車でスキー場に行く場合、駐車場はメインのスキーコースと隣接していないのが一般的です。駐車場はスキーコースよりも数百メートル標高が低い町の中にあり、そこに停めてからロープウェイなどでスキー場に向かいます(ただし、ハイシーズンには駐車場まで滑って降りることが可能な場合もあります)。Meiringen-Hasliberg を例にとると、駐車場は Twing, Reuti もしくは Meiringen にあり、そこからロープウェイで Käserstatt と Bidmi という拠点に向かいます。
こうすると駐車場は比較的標高が低くなるため、駐車場までの道が平坦となり積雪量も少なくなります。Meiringen-Hasliberg では駐車場までの道は普段は路面には雪が全く無い状態で、降雪時にも頻繁に除雪が行われるため、少なくとも今年は路面にうっすら雪が積もる程度でした。スタッドレスタイヤを履いていればチェーン不要で、四輪駆動車でなくとも簡単に駐車場まで行くことが可能です。
駐車場にはいくつかのタイプがあります。
- 入場ゲートで自動発券機からチケットを受け取り、出場時には事前に自動精算機で料金を払った後、出場ゲートの機械に精算済みチケットを通す。
- 駐車場内にパーキングチケット発券機が設置されており、駐車後に利用時間に応じた料金を投入してパーキングチケットを発券、それを車内フロントグラスから見える位置に置いておく。
- 駐車すると係員が来るので、そこで料金を支払う。
パーキングチケット発券機はコインしか受け付けずお釣りも出ない事が多いので、事前にコインを用意しておく必要があります。発券機に利用時間と金額の対応表が書いてあるので、必要な時間分だけコインを投入して発券ボタンを押します。
なお繁忙期で駐車場が満車となった場合、係員の案内に従って路上駐車を行うこともあります。駐車後も対面通行できるだけの道幅を確保するためにガードレールギリギリに寄せることが要求されるため、助手席の人を先に下ろしてから停めることになります。
Meiringen-Hasliberg では Käserstatt と Bidmi という 2 つの拠点がありますが、利用する駐車場によって直接アクセスできる拠点が異なります。異なる拠点に移動したい場合には、拠点からスキーリフトで上がって中級コースを滑って移動するか、あるいは有料のバスを使うことになります。
チケットの買い方
スキーもしくはスノーボードでゲレンデを利用する場合には、指定された期間ロープウェイやリフトを無制限に乗れるパスを購入します。
パスの情報は無線ICカードに格納され、リフトなどの入口付近に設置されたゲートに近づけることで通過可能になります(正確にはICチップには固有の番号が割り振られているだけで、その中には情報は書き込まれません。スキー場のゲートを管理するシステムの方にICチップの番号と有効期限が記録されます)。
パスの有効期限は半日券 (8時から13時まで、もしくは12時から17時まで)、1日券に加えて2日券、3日券など連続した日程で利用可能なパスや、連続した6日間の内4日間を選んで利用できるパスなどが販売されています。スキー場でパスを購入すると5スイスフラン程度の小額の保証金と引き換えにICカードが貸し出され、返却時に保証金が払い戻されます。
また複数スキー場で使える汎用のICカードがあり、それを持っている場合には、事前にオンラインサイト ski.ticketcorner.ch でパスを購入して自分のICカードに登録しておくことが可能です。当日窓口で並ぶ手間が省けて便利。
ソリやハイキングで利用する場合には、一回券やソリ・徒歩専用のパスを購入します。スキー、スノーボード用のチケットと比べるとやや安価で、かつ Halbtax Abo(スイスの公共交通機関全般で使える割引カード)を持っていると割引が適用されます。
スキー場内施設
レンタルショップ
スキー、スノーボードなどの用品をレンタルすることができます。ウェアは取り扱っておらず、スキーであれば板、シューズ、ポールの三点、スノーボードであればボードとシューズの二点のみの取り扱いが一般的。またソリコースが併設されているスキー場ではソリもレンタル可能です。
私はいつも事前予約無しで当日申し込みですが、今までのところ借りられなかったことはありません。クロスカントリースキーは取り扱いがない場合も多く、また場所によっては幼児用のサイズを取り扱っていない場合もあるようです。レンタルにはクレジットカードが必要で、これで利用者登録を行います。支払いはクレジットカードが使えるところと、現金のみの場合とあり。
レンタルショップは駐車場の近くにある場合と、駐車場からロープウェイなどで登った拠点エリアにある場合があります。専用のチケット売り場がない場合には、レンタルショップがリフト券などの販売窓口も兼ねています。
レストラン
セルフサービス式のところと、店員がオーダーを取りに来るところとあります。同じ敷地内で区画を分けて営業していることもあり、セルフサービスで購入したものをオーダーを取りに来る方の座席に持ち込まないようにと注意する看板 (Wir bedienen Sie, 直訳すると「私達があなたにサービスします」) が出ていることがあります。
チューリッヒ近郊の日本語補習校
チューリッヒ日本語教室とツーク日本語学校を見学してきました。
いずれも、日本語を母国語としつつ現地校(ドイツ語)に通う児童向けに日本語と日本文化を教えるもので、州政府教育庁から Unterricht in heimatlicher Sprache und Kultur (継承語と継承文化授業)として認可を受けています。
参考:チューリッヒ州政府による継承語と継承文化授業に関する解説 日本語PDFあり
水曜日午後に開講されており、授業は週に80分から90分程度。加えて宿題が出ます。現地校で受ける教育が主、それに対する補習校という位置づけです。受講すると選択科目として「日本語」を履修したという扱いになり、小学校からは現地校の成績表にも記載されるとのこと。
どちらの学校も目標とするところは近いですが運営体制や方針には差があるので、Web ページなどで情報を集めると共に実際に見学に行って教員と話してみることが望ましいです。
なお、両校とも日本の学校教育法が規定する学校、あるいはそれに準ずる教育を行う施設として日本の文部科学省から認可を受けているわけではないので、履修して単位を取得しても日本における卒業資格とはみなされません。
たとえば、日本の高校に入学するには日本の文部科学省が認める中学校相当の教育課程を修了する必要がありますが、ツーク日本語学校の中等部過程を修了しても、これは認められません。もっとも、補習校程度の学習時間で日本の教育指導要綱で定められた学習内容(理系科目はともかく、日本地理、日本史、公民、古典、漢語など)をこなすのは難しいため、たとえ制度的に認められたとしても、日本の学校で学んだ生徒・児童と同じ土俵で競うのは非現実的ですけど。
最初から一定期間で帰国して日本の学校に入れることが想定される場合は、現地校+日本語補習校ではなく、日本の学習指導要領に従った教育を行っており、日本で有効な卒業資格を得られる日本人学校全日制過程に通わせることになります。チューリッヒ州だとウスター市にチューリッヒ日本人学校があります。この場合のデメリットは、現地社会への統合、ならびに現地での進学が難しくなること。
一方、スイスに長期間在住する想定で、日本語能力を伸ばし日本文化に関する理解を深めさせたい場合には、現地校に通わせつつ日本語補習校に通わせることになります。現地校だけの場合と比べると授業と宿題が増えるため両親と子供の負担が増えますが、サッカーや楽器などの習い事をしてると思えば似たようなものでしょう。
補習校
- チューリッヒ日本語教室
- ツーク日本語学校
- チューリッヒ日本人学校 日本語補習校(土曜日午後開講、2時間程度)
全日制
2016年 スイス居住者のマイレージサービス選び
仕事やプライベートで飛行機に乗る機会がそれなりにあるので、航空会社の FFP (Frequent Flyer Program, マイレージサービス) は関心事。今年までは全日空 (ANA) の ANA マイレージクラブを利用してきましたが、スイスへの移住に伴い、来年から見直しを考えています。
ANA マイレージクラブは日本在住だと使い勝手が良いのですが、これで上級会員になるための条件として「ANA自社運航便で暦年に25,000ステータスマイルを獲得すること」というのが最近追加され、スイス在住で特に日本出張が多く見込まれるわけではない身には達成が難しくなりました。
具体的にどの程度のハードルかというと、毎年スイスから日本に2回ビジネスクラスで往復するか、エコノミークラス正規割引運賃だと3回往復する必要があります。
他社の FFP を調べたところ、仕事で頻繁に飛ぶ、それこそ隔月でビジネスクラスで米国やアジアに出張という状況なら、スイスインターナショナルエアラインズの Miles & More に入るのが良さそうです。なにしろチューリッヒ空港を拠点とする航空会社ですし。
しかし、そこまでは頻繁に飛ばない、あるいはエコノミークラスの利用も多いとなると Miles & More では上級会員 (Sanator, 年間100,000ステータスマイル必要) まで到達できないので、ターキッシュエアラインズ(トルコ航空)の Mile & Smiles、エジプト航空の Egypt Air Plus、もしくはアシアナ航空の Asiana Club が現実的。
一時期、簡単にスターアライアンスゴールド資格が取れると話題になっていたエーゲ航空は、自社運航便を利用しない場合にはハードルが上がったようです。
Miles & Smiles
- 上級会員資名: Elite
- 初回条件: 1年間に40,000ステータスマイル
- 有効期間: 2年間
- 更新条件: 1年間25,000ステータスマイル、もしくは2年間で37,500ステータスマイル
- 欧州発日本行ビジネスクラス特典航空券に必要なマイル: 90,000
Egypt Air Plus
- 上級会員資格名: Golden
- 初回条件: 30,000ステータスマイルを獲得するとSilverステータスとなり(期間制限なし)、その後、2年間で30,000ステータスマイルを獲得
- 有効期間: 2年間
- 更新条件: 2年間で30,000ステータスマイル
- 欧州発日本行ビジネスクラス特典航空券に必要なマイル: 120,000
Asiana Club
- 上級会員資格名: ダイヤモンド
- 初回条件: 2年間に40,000ステータスマイル
- 有効期間: 2年間
- 更新条件: 2年間に40,000ステータスマイル
- 欧州発日本行ビジネスクラス特典航空券に必要なマイル: 120,000
初回条件は Asiana Club が楽ですが、その後の資格維持や貯めたマイルを特典航空券に変えることを考えると Miles & Smiles が良さそうです。
非居住者にとっての国民年金加入の損得
日本人在外居住者が、日本の国民年金に任意加入することに関する話。
日本にいると国籍を問わず日本の年金制度への加入は義務ですが、完全に日本を離れて国外在住となると、日本人であっても日本の年金制度への加入は任意となります。原則として、居住地の社会保障制度に加入してそちらで対応して下さい、ということです。
私はスイス現地法人で直接雇用されているため、日本の年金制度に加入する義務はない、ただし国民年金には希望すれば任意で加入可能という状態ですが、さて加入するべきかどうかということで検討してみました。
任意加入となると、純粋に金融商品として投資する価値があるか否かという視点で国民年金を見ることになります。貯蓄・投資に回せる資金が手元にある場合に、その使い道として
- 国民年金に加入して保険料を支払う
- スイスの厚生年金 (Pillar 2) に積み立てる
- スイスの個人型確定拠出年金 (Pillar 3a) に積み立てる
- 貯金する
- 株式市場で運用する
- 民間の年金保険に加入する
などの選択肢があり、どこに資金を回すのが最も得かという話になるわけです。
内部収益率法
金融商品の損得を計算する方法として IRR (内部収益率法) があります。ざっくり言えば、その金融商品が金利何%に相当するかを求めて判断材料とします。
たとえば手元に100万円あるとして、これを金利1%で銀行に1年間預けると101万円になります。これと比較して、たとえば100万円を預けると5年目に50万円、10年目に55万円もらえる債券はお得でしょうか?
一見すると100万円預けて105万円もらえるので得な気がしますが、実際には100万円預金しておくと毎年利子がもらえます。利子もそのまま預金しておくことにすると、10年後には約110万4,600円ほどになります。つまり債券を買うより預金しておいたほうがマシな選択肢だったわけです。
逆に、もし預金金利が0.64%未満であれば、債券を買ったほうが得になります。この 0.64% という数字が内部収益率です。手で計算しようとすると大変ですが、スプレッドシートを使えば一瞬で、Excel でも Google SpreadSheet でも IRR という組み込み関数があるので、毎年の支出・収入を入力して、その範囲に関数を適用するだけです。
注:債券には発行元が破産するなどして償還されないリスクがあり、売買手数料もかかるため、実際には預金よりも高い内部収益率でないと割に合いません。
国民年金の内部収益率**(在外居住者)**
国民年金は20歳から60歳まで毎年保険料を納めることで、65歳から死亡するまで定額の年金を受け取るという金融商品です。インフレや人口動態の変化に対応するための仕組みが入っており実際の年金支給額を計算するには複雑な計算が必要になりますが、簡単のために保険料・受給額とも現在の数値で固定して、男性は80歳、女性は85歳まで生きると想定します。
- 20歳から40年間、毎年202,800円ずつ保険料を支払う
- 65歳から平均寿命まで毎年788,892円ずつの年金を受け取る
この条件で計算すると、国民年金の内部収益率は男性で 1.15%, 女性で 1.98% となります。女性のほうが数字が良いのは、保険料は同一にも関わらず平均して5年間ほど長生きするためです。仮に年金財政が逼迫して年金支給開始年齢が引き上げられると、数字は悪化します。
- 65歳から支給開始 男性 1.15% 女性 1.98%
- 67歳から支給開始 男性 0.69% 女性 1.66%
- 70歳から支給開始 男性 -0.08% 女性 1.15%
年金支給開始年齢が67歳程度まで引き上げられるのは、個人的には十分に想定される事態かなと思っています。
長期にわたって資金が固定され、かつ想定内部収益率が1% 未満となると、個人的には魅力的な投資対象とは言いがたいという判断になりました。
国民年金の内部収益率(日本居住者)
なお国民年金の損得は、日本に住んでいる場合には話が変わってきます。そもそも日本に住んでいる場合には年金制度への加入は義務ですが、ひとまずそれは置いておいて、純粋に金融商品として魅力的かどうかという観点で検討してみます。
日本在住の場合、収入から必要経費等を除いた所得に対して所得税と住民税が課されますが、この「必要経費等」に国民年金への拠出金も含まれます。
仮に所得税と住民税を合わせた税率が30%とすると、年金保険料202,800円を払うことで税金の支払いが60,840円少なくなるわけです。この差額分を保険料から相殺して考えると、
- 20歳から40年間、毎年141,960円ずつ保険料を支払う
- 65歳から平均寿命まで毎年788,892円ずつの年金を受け取る
となり、内部収益率は次のように変わります。
- 65歳から支給開始 男性 2.20% 女性 2.95%
- 67歳から支給開始 男性 1.73% 女性 2.60%
- 70歳から支給開始 男性 0.93% 女性 2.06%
また国民年金に加入していると、年金受給開始前であっても、病気や怪我をして障害が残った場合には程度に応じて生涯にわたって障害基礎年金が支払われます。
Charles Schwab 証券取引口座開設
Charles Schwab という証券会社に口座を開設したので、その手続きについて。
スイス居住者が金融商品を取引するには、スイス国内の銀行・証券会社を利用する方法と、海外の金融機関を利用する方法があります。スイスは金融大国として知られていますが、意外と手数料が高く、特にスイス以外の市場で取引を行う場合には米国の証券会社を利用するほうが安く済みます。
いくつか調べたところ、私の状況だと Charles Schwab が使いやすそうだったので、ここで口座を開くことにしました。
Charles Schwab は米国の証券会社ですが、スイス居住者は英国現地法人で口座開設手続きを行う必要があります。口座開設申込書は Charles Schwab UK のサイトから入手できますが、国籍、居住地などにより口座開設の手続きが異なるため、申込書送付前に必ずコールセンターに電話して必要書類の確認をとるようにとのこと。
電話したところ、私の場合は次の書類を送付することになりました。
- Schwab One International 口座開設申込書
- 米国非居住者用免税書類 W-8BEN
- パスポートの写し
- 銀行の取引明細書(ステートメント)
- ケーブルテレビ会社の請求書
書類を揃えて Charles Schwab UK に送ると、しばらく音沙汰がなく、数週間後に突然メールが届きます。それも口座開設のお知らせではなく、
- Schwab One International 口座に電話番号が追加されたことの通知
- 取引通知書を電子的に交付する(紙を送らない)ことに同意する手続
といった事務連絡。
その後で、郵便で口座開設確認書 (Account Verification) が届きました。ここに口座番号が記載されています。あとは、米ドルを Charles Schwab の口座に振り込めば取引が開始できます。
前後して Visa Platinum Debit Card と小切手帳が届きました。これを使うと Charles Schwab の口座においてある米ドルを ATM で引き出したり、あるいは買い物の決済に使うことが出来ます。利用手数料がかからないため、旅行したり米ドル建ての買い物をする人には便利。
なおカードは到着時点では使用することが出来ず、コールセンターに電話してアクティベーション手続きと PIN コードの設定を行う必要があります。
またインターネットでオンライン取引を行う場合、別途 Login ID の設定を行う必要があります。米国居住者で SSN (社会保障番号) を持っている人はオンラインで手続きが完了するようですが、私のように米国外居住者で SSN を持っていない場合には、あらためてコールセンターに電話して Login ID を設定してもらう必要があります。
コールセンターに希望する Login ID を伝えると、その場で仮パスワードが発行されます。設定された Login ID と仮パスワードでログインし、パスワードを再設定すれば手続き完了。
スイスの医療保険 (2)
スイスにおける医療制度の話。前回の続き。
追加保険 (VVG)
追加保険とは、強制加入である基本保険(KVG)で保障されないリスクをカバーするための保険です。
基本保険と異なり加入は任意で、提供される内容も保険会社ごとに異なります。また保険会社は、既往歴や医師の診断書を保険料算定ならびに引受可否の判定に用いることが出来ます。基本的に罹病して入院が想定される状況では保険会社が引き受けを断るため、健康な内に加入しておく必要があります。(例外として保険会社が企業に対して団体契約プランを設定している場合、その特典の一つとして追加保険加入申請の際の診断書の提出を免除し、無条件で加入を認めるという特約が含まれていることがあります)
追加保険は商品設計の自由度が高く、各社で大きく異なるパッケージングをしているため分類が難しいのですが、追加保険でカバーされるリスクの範囲はおおよそ次のように分けられます。
- 外来診療
- 入院
- 代替医療
- 歯科治療
- 予防医療
なお、いずれに関しても詳細は保険毎に異なります。たとえば特定の治療に関して、ある保険では保険会社8割負担(自己負担2割)で上限なし、別の保険では保険会社全額負担だが年間上限3,000CHFといった具合です。
基本保険と追加保険は同じ保険会社から購入しても、別の保険会社から購入しても構いません。ただし同一保険会社から購入した方が保険金請求手続きなどが簡単です。
外来診療
基本保険でカバーされない、次のようなリスクに対応します。
医療機関の地理的制約
緊急時を除き、基本保険で通院できる医療施設は、居住地もしくは就労地の州内にあるものに限られます。たとえ隣の州の病院に患っている病気の世界的権威がいたとしても、その医師の診察を受けると全額自己負担となります。
追加保険を購入することで、基本保険と同等の自己負担額で州外の医療機関でも受診可能となります。一般にはスイス国内の医療機関での受診のみ保険金支払い対象ですが、より高額な保険では全世界の医療機関での受診が保険金支払い対象となります。
これは特に小さな州に住んでいて州内に医院の選択肢が少ない場合や、州の境界近くに住んでおり、隣の州の医院のほうが通いやすい場合に有用です。
基本保険では、緊急時を除きスイス国内医療機関での受信のみ保険金支払い対象ですが、全世界の医療機関での受信が保険金支払い対象となります。
2020年6月23日訂正: 外来診察に関しては、居住地や就労地による制約はありません。対応する法律の条文は 832.10 Bundesgesetz über die Krankenversicherung (KVG), Art. 41 です。
Art. 41 Wahl des Leistungserbringers und Kostenübernahme
Die Versicherten können für die ambulante Behandlung unter den zugelassenen Leistungserbringern, die für die Behandlung ihrer Krankheit geeignet sind, frei wählen. Der Versicherer übernimmt die Kosten nach dem Tarif, der für den gewählten Leistungserbringer gilt.