スイスの新型コロナウイルス感染者接触追跡アプリケーションで使われる仕組み DP-3T
スイスでも、新型コロナウイルスの感染追跡ツールとしてスマートフォンの利用が検討されています。既にアジア各国やイギリスではスマートフォンを用いた感染追跡は実用化されていますが、プライバシー保護が厳格なスイスにそのままの形で導入することは難しいため、より個人情報に配慮した DP-3T (Decentralized Privacy-Preserving Proximity Tracing; 分散型プライバシー保護接触追跡) という仕組みを考案し、Apple, Google とも協力して開発が進められています。
DP-3T の詳細インターネット上で公開されています。ホワイトペーパーを読んでみましたが、なかなか巧妙で面白い仕組みだったので、覚書を残しておきます。
経緯
DT-3T は、スイスを代表する理工系大学であるスイス連邦工科大学ローザンヌ校とチューリッヒ工科大学の共同プロジェクトとして始まり、最終的に欧州の25人の科学者・研究者の手によってまとめられました。成果物は下記サイトで公開されています。
https://github.com/DP-3T/documents
背景
接触追跡の目的は、新型コロナウイルス感染者が判明した場合に、その人が発病した日以降に一定以上の接触があり新型コロナウイルスに感染している可能性がある人間を特定し、それ以上の感染拡大を防ぐことです。
伝統的な手法としては感染者に対する聞き取り調査があり、またアジア諸国で導入されているスマートフォンの位置情報を利用する方法もありますが、いずれも欠点があります。
聞き取り調査
- 高度な訓練を受けた専門家の関与が必要なため、実施可能な件数が限られ、時間がかかる。
- 感染者の記憶と自己申告に頼ることになるため、記憶が曖昧な場合や本人が申告しないケース(知られたくないお店や相手への訪問など)は追跡ができない。
位置情報を利用する方法
- 当局がアプリケーション利用者の行動履歴を追跡できるため、プライバシー侵害の懸念がある。
- システムに侵入された場合に、利用者の行動履歴が漏洩する。特に感染者が特定された場合のリスクが大きい。
DP-3T は専門家による聞き取り調査を置き換えるものではありませんが、それを補完する仕組みとして機能します。
仕組み
ホワイトペーパーでは低コスト分散接触追跡 (Low-cost decentralized proximity tracing) と、それを発展させた連結不能分散接触追跡 (Unlinkable decentralized proximity tracing) という二つのデザインが提示されています。とりあえず、前者のみ。
概要
短寿命識別子の処理と記録
- 各スマートフォンは、スマートフォン内で短寿命識別子 (ephemeral identifier, EphID) を生成し、それを一定間隔で周囲に送信する。
- この EphID は頻繁に変更されるため、受信者が送信者を特定・追跡するためには使えない。
- EphID の送信には Bluetooth Low Energy (BLE) という規格を用いる。これは短距離通信のための規格なので、受信するためには物理的に送信者の近くにいる必要がある。
- EphID を受け取ったスマートフォンは、EphID とおおよその受信時刻、ならびに受信していた期間を記録しておく。
感染者情報の登録と接触者への通知
- 患者が新型コロナウイルスに感染していることが判明した場合、感染者は保健当局の承認を得て、感染していた期間に送信した EphID の圧縮表記 (compact representation) をサーバーに登録する。
- compact representation は複数の EphID を圧縮してまとめたもので(詳細は後述)、受信者は compact representation から EphID を計算で求めることができる。
- 他のスマートフォンは定期的にサーバーから感染者の compact representationを受信し、それから感染者が過去に送信した EphID を計算する。
- 以前に受信・保存していた EphID と感染者が送信した EphID が一致していた場合、そのスマートフォンは感染者のスマートフォンと過去に近接していたことになる。近接していた期間・距離などから感染リスクを計算し、感染リスクが高い場合にはスマートフォンに通知を表示する。
詳細
初期設定
スマートフォンでは、毎日、そのスマートフォン固有の秘密鍵を生成する。t を分散型接触追跡システム全体で共有された基準日からの経過日数、その日のスマートフォン固有の鍵を SKt と表記する。(この SKt が概要で挙げた compact representation に相当)
スイスにおける新型コロナウィルス対策
スイスは欧州では比較的早い時期に新型コロナウィルスの感染が拡大し、段階的に行動制限が強化されてきましたが、3月中旬から新規感染者数の減少傾向が明確になり、今後は制限を徐々に解除していく方向に向かっています。この機会に感染拡大からの経緯を振り返り、記録に残しておきたいと思います。
なお私は疫病対策や感染症の専門家ではなく、スイスのチューリッヒ州に家族とともに住む一個人です。記録は俯瞰的なものではなく、自身の関わる範囲で経験した内容に限られます。
時系列
2月末〜3月上旬
2月中頃までは、新型コロナウィルスはアジアの遠くの地域での感染症という感じでしたが、2月中旬からイタリアで新型コロナウィルス感染者が出たと報道されるようになり、徐々に他人事ではなくなってきました。
学校当局者からも、学校での対策や、新型コロナウィルス流行感染国から帰国した子供に対する措置を通知する連絡が届くようになりました、また月末には勤務先でも感染者が確認されました。
この時期にスイス国内で感染が確認された事例は、すでに感染者が流行していた外国(特にイタリア北部)から入国した人が、入国後に発症した事例が多かったように記憶しています。
2月28日(金)
スイス国内での新型コロナウィルス感染者数が増加。特に、イタリアからの越境通勤者が多い Tessin 州で多くの感染者が出ていました。
スイス国内での新型コロナウィルス感染増加に伴いスイス連邦議会が緊急招集され、翌日から3月15日まで1,000人以上のイベント開催が禁止になりました。翌土曜日の時点ではスキー場が「1,000人以上のイベント」に該当するかの解釈が分かれ、一部のスキー場は営業を継続しましたが、日曜日からは全面休業になりました。
連邦政府によるプレスリリース
Coronavirus: Bundesrat verbietet grosse Veranstaltungen
対策(国)
- 1,000人以上のイベント禁止
3月4日(水)
2月末に骨折した足首を手術するため、入院。
新型コロナウィルス予防のため、消毒薬が待合室に置かれるなどの対策は行われていましたが、この時点では病院は通常通りに機能していました。病院内の食堂も営業、見舞客の訪問も可能でした。
またチューリッヒ州当局が新型コロナウィルスへの対策を改定。これに伴い、学校にも下記のガイドラインが設定されました。
対策(学校)
- 外部の人間(保護者を含む)が参加し、室内で行われる学校行事を避ける
これにより保護者会や授業参観の日程延期、ならびに保護者参加の特別授業 (Projektwoche) の内容変更が決まりました。
3月7日(水)
退院。術後四週間は、手術した方の足には体重を軽く乗せるだけにするようにということで、松葉杖生活です。その間、会社は病欠で自宅待機。
新型コロナウィルス新規感染者数が徐々に増え、連日報道されるようになりました。この時点では小学校や店舗営業は通常通り。
3月13日(金)
新型コロナウィルス感染拡大が止まらないため、連邦議会が追加措置を決定。アナウンスの翌日午前0時から施行されました。
対策**(国)**
- 100人以上のイベント禁止
- 学校閉鎖
- レストラン、バー、ディスコに滞在できるのは一店舗あたり従業員を含めて50人まで
連邦政府によるプレスリリース
外出規制は導入されないが、人との接触を減らすように (soziale Distanzierung) というアナウンスがありました。
これにより、子供が通っている小学校も月曜日から閉鎖されることに。今後の授業については未定。
3月16日(月)
スイス連邦政府が感染症予防法に基づく非常事態宣言 (ausserordentliche Lage gemäss Epidemiengesetz) を発令。これに伴い州の権限の一部が連邦政府に移譲。翌日午前0時から施行。
対策**(国)**
- 規模に関わらず一切のイベントを禁止
- 原則として全ての商店、市場、レストラン、バーならびに娯楽・余暇産業、スポーツセンター、スイミングプール、スキー場を閉鎖。
- 距離を保てない一切の業務(散髪、コスメティックサロンなど)を閉鎖。
- 陸路国境の閉鎖(ただし物流は維持)
継続して営業される店舗・サービス
2019/20 スキープレシーズン
スイスのスキー場は12月半ばから本営業開始のところが多いですが、降雪状態に応じて11月から一部コースの営業が始まります。今年も何箇所か行ってきました。
Andermatt Gemsstock(11月16日)
チューリッヒから駐車場まで車で1時間20分、そこからゴンドラに乗ってスキー場に上がります。アンデルマットは元々は平凡な山村でしたが、軍演習場の閉鎖に伴い、海外から大規模資本を導入して観光地としての再開発が進行中。
この日は Gemsstock という山にある中上級者向けコースのみオープン。
午前中まで雪が降っていたこともあり、Gemsstock 山頂からレストランがある Gurschen までのゲレンデはあまり圧雪されていない状態。楽しいけど足が疲れます。Gurschen 周辺のコースは圧雪されたパウダースノーでした。
Zermatt Trocknersteg (11月23日〜25日)
チューリッヒからツェルマットの街まで電車で3時間。金曜日の仕事を早めに切り上げて電車に乗り、土〜月曜日まで滑ってきました。
ツェルマットのスキー場はスイス・イタリア国境にまたがっており、スイス側は Sunnegga, Gornergrat, Trockener Steg / Klein Matterhorn と大きく3つに分かれます。この時点でスイス側で営業しているのは最後の Trockner Steg / Klein Matterhorn エリアのみで、イタリア側は土日は強風のため閉鎖、月曜日のみ滑走可でした。
街中を電動バス(スキーリフト券があれば乗車無料)が巡回しており、滞在先のホテル近くのバス停から乗車して Trockner Steg 行きのゴンドラ乗り場に向かいます。
Klein Matterhorn の標高は 3,883m と富士山より高く、その下の Trockner Steg でも 2,939m に位置するため、早い時期から十分な量の雪が積もります。
一部営業とはいえスキーエリアは広大で、イタリア側までオープンした月曜日は総ゲレンデ長 130km 弱に達しました。スイス側はしっかり圧雪されていましたが、土日クローズしていたイタリア側は非圧雪状態のコースも多かったです。
スイス側は中級者向けコースのみ営業、イタリア側は初心者コースも空いていましたが、アクセするには中級者コースを通る必要があり一部は非圧雪なので、初心者には難しい。雪質もよくコースも広いので、中級者以上なら楽しめます。
Jungfrau Mürren / Schiltron(12月1日)
チューリッヒから駐車場がある Stechelberg まで車で1時間45分、そこから大型ゴンドラを乗り継いで Birg に向かいます。
この日は初心者コースが1つ、中級者コースが2つと、最後に街に降りるための上級者コースが1つ営業していました。街から Birg に上るゴンドラは30分に1本なので、上級者コースは繰り返し滑るのではなく、その日のスキーを終わって帰るときに1度だけ滑る用です。
この日は、まだパラレルではなくハの字のボーゲンで滑る下の子供も連れて行ったのですが、初心者コースを楽しんでいました。
天候は雪でしたが、スロープの雪面はけっこう固め。中級者コースは、しっかりエッジをかけて左右に向けてスピードをコントロールするか、あるいは雪面を削りながらスピードを落として滑る感じでした。
写真は、最後に上の子供と一緒に街まで滑って降りて来た際のもの。Birg 周辺は森林限界を超えているので、木はありません。
スイスでの落とし物の探し方
落とし物が戻ってくるまで
スイスで落とし物をすると、落とし物から持ち主が特定できる場合には、拾った人が落とし主に直接連絡してくることがあります。日本と同様、拾ったものを最寄りの警察署などに届けることも可能ですが、この方法だと引き渡しまで数日かかるため、個人間でやり取りしたほうが早いという実用的な理由。
この場合、拾った人と待ち合わせをして落とし物を受け取り、その際にある程度の謝礼を渡します。法律上、拾得者は遺失物の10%の価格を請求できることになっており、現金が入った財布を落とした場合には、その現金の10%強を謝礼として渡すことが多いようです。
一方で、個人での受け渡しをしたくない場合や、落とし主を特定できない場合には、まず落とし物は最寄りの警察署、市町村役場や鉄道駅に届けられ、その後で主要駅などにある遺失物取扱所(ドイツ語 Fundbüro)に集められます。
多くの公共交通機関や地方自治体はオンライン紛失物管理システム easyfind.ch を利用しており、遺失物取扱所に集められた落とし物は一括してこのシステムに登録されます。登録された落とし物情報は、遺失物取扱所に出向いて係員に調べてもらうこともできますし、個人で easyfind.ch の Web サイトで検索することも可能です。
見つかった場合には、本人確認の上、拾得者への謝礼と遺失物取扱所の取扱手数料(例えばスイス鉄道では 20 SFr, 定期券を持っていると割引あり)を支払い、落とし物を受け取ることになります。
easyfind-Code
遺失物取扱所を経由すると、落とし物がシステムに登録されて検索可能になるまで2,3日かかりますし、鍵束など姿形が似ているものだと、検索しても条件に合致する紛失物が多くなりがちで、見つけ出すのも大変です。かといって、拾得者が連絡を取れるよう、あらゆる物に個人情報を書いておくのも現実的ではありません。
この問題を解決するために、easyfind.ch では easyfind-Code というサービスを提供しています。利用したい人は、次の手順を踏みます。
- easyfind.ch のサイトから英数字8桁のコード入りのタグやシールを購入し、それを紛失する可能性のあるキーホルダーなどに取り付けておきます。
- easyfind.ch のサイトで、連絡先と購入した商品についていたコードを登録します。
落とし物を拾った場合、拾得者は easyfind.ch のサイトからコードを入力することで持ち主に SMS, メールで連絡をとることが出来ます。
落とし物が遺失物取扱所に届けられた場合には、システムに落とし物の情報が登録されると同時に持ち主に連絡が届きます。
キーホルダーに取り付けるタグの場合は、拾得者は最寄りのポストに投函することも可能です。この場合、鍵は easyfind.ch の集配所に集められ、そこから所有者宛てに郵便で送られます。
費用は商品の材質・形状ならびに郵便配送サービスが含まれているかによりますが、シール状のもので安くて1枚約3.5SFr、キーホルダーに取り付ける金属製のタグだと約35SFrで、有効期限は2年です。その後は買い替えるか、もしくは有料で期間を延長できます。
私の場合
幸いこれまで遺失物取扱所のお世話になったことはありませんが、私がオフィスの中で鍵を落として探し回ったり、子供が電車内に物を忘れることがあったため、いくつかタグを買って付けておくことにしました。
大人は鍵束とスマートホン、子供はリュックサック、スキーウェア(冬場は登下校でも着用する)、タブレット、電子書籍端末といったところです。
スイスで鉄道・バスを使って旅行する際の荷物配送サービス
スイスは公共交通機関が整備されているので、鉄道・バスを使って国内旅行する機会も多いですが、その際の荷物について。
公共交通機関はスペースに余裕がある作りになっているので、自分で持ち運べる範囲であればスーツケースやスキーを持ち込んでも問題ありませんが、荷物が多い場合には別便で荷物を送ることができます。
いくつかのサービスがありますが、いずれも前提として「本人が公共交通機関を使って移動する際に、別便で荷物を送る」もので、本人が自家用車などで移動する場合には利用することはできません。事前に有効な切符を購入しておき、荷物預入時に提示する必要があります。
(なお以下の記述は2018年8月現在の情報です。商品構成やサービス内容はよく変わるので、最新版は SBB の公式ページ SBB Reisegepäck で確認してください)
商品種別
商品種別にかかわらず、送料は荷物1つあたり12 CHF で重量は 25kg までです。
Reisegepäck - Bahnhof zu Bahnhof
最も基本的な商品で、有人の鉄道駅ならびに主要バス停間で荷物を送ることができます。
原則として 19:00 までに駅の窓口で荷物を預けると、翌々日の9:00に指定した駅で荷物を受け取ることができます(ただし駅によって営業時間が短縮されている場合あり)。
駅で荷物を預けると預り証が発行されるので、それを持って受取駅に行きます。
Reisegepäck - Baunhof zu Tür
有人駅・バス停から指定した住所まで送ることができます。
原則として 19:00 までに駅の窓口で荷物を預けると、翌々日に配送となります。配送時間は午前(7-12時)、午後(12-18時)、夜間(18-23時)で指定可能。
送料に加え、固定で手数料が 25 CHF かかります。
Reisegepäck - Tür zu Bahnhof
指定した住所に荷物を引き取りに来てもらい、指定の有人駅・バス停まで配送してもらいます。
荷物集荷2日前の20時までに申し込みを行い、集荷日の翌々日9:00から指定した駅で荷物を受け取ることができます。集荷時間は午前(7-12時)、午後(12-18時)、夜間(18-23時)で指定可能。
送料に加え、固定で手数料が 25 CHF かかります。
Reisegepäck - Tür zu Tür
指定した住所から指定した別の住所まで配送してもらうサービスです。
荷物集荷2日前の20時までに申し込みを行い、集荷日の翌日に配送となります。集荷時間・配送時間とも午前(7-12時)、午後(12-18時)、夜間(18-23時)で指定できますが、夜間集荷と午前配送は組み合わせることができません。
送料は固定で 40 CHF の手数料がかります。
Reisegepäck Express - Tür zu Tür
急行便で指定した住所から指定した別の住所まで配送してもらうサービスです。
荷物集荷2日前の20時までに申し込みを行うと、当日の6-9時に集荷、同日18-23時に配達となります。利用できる地域に制限があり、主要都市ならびに主要スキーリゾート周辺に限られます。
送料に加え、固定で手数料が 70 CHF かかります。
日本からスイスへの荷物発送
背景
海外に住んでいると、しばしば日本との間で手紙や荷物をやりとりする機会が出てきます。慣れれば大したことではないのですが、利用できるサービスの種類や手続きなどが国内便と異なり最初は戸惑ったので、情報をまとめておきます。
情報は2017年12月時点のもので、日本からスイスへの発送について解説しています。所要日数については関東近郊からの発送を想定しており、離島などでは長くなることがあります。
時間がない人向けに
郵便局に封筒に入れた文書もしくは梱包した荷物を持って行き、次の情報を局員に伝えると適切な発送手段を選択してくれます。記入が必要な書類(送付状、税関申告書、インボイスなど)を指定されるので、それに記入して送料を払えば終了です。
- 内容物の明細と金額
- 内容物は英語表記が必要。代表的な品目については郵便局が翻訳例を提供している。
- 荷物の追跡、ならびに郵便事故時の補償は必要か?
- 稀に郵便事故で送付物が紛失する可能性あるが、追跡不要とした場合には補償はない。
- 補償が必要な場合には、補償額(内容物の金額が上限)
- 所要日数(営業日)
- 3日
- 6日
- 2週間〜2ヶ月
- 1〜3カ月
発送に必要な書類や、損害賠償保険金額の上限などは日本郵便の国・地域別情報(国際郵便条件表)に詳細があります。
日本から食材などを取り寄せる場合、日本在住の肉親や知人に依頼して購入・転送してもらうことも可能ですが、明細の作成や郵送手段の選択などは慣れないとやや面倒です。海外への荷物転送を専門に行っている業者もあるため(御用聞キ屋、転送コムなど)、それらを利用するのも手です。
2020年6月21日追記 2021年1月1日以降は手書きのラベルは使用できなくなり、郵便局が提供する国際郵便マイページサービスで内容物などの情報を入力してラベルを作成する必要があります(参考:通関電子データ送信義務化について)。
国際配送サービス概要
サービス提供事業者
日本から海外に手紙や荷物を発送する場合、利用できる手段は大きく
- 郵便局が提供する国際郵便
- 民間事業者の提供する国際輸送サービス
に分けられます。
国によって事情が異なるのですが、日本とスイスは郵便の信頼性が高いため、個人利用であれば国際郵便を使うのが安価で便利です。
民間事業者ではヤマト運輸、佐川急便、DHL、FedEx、TNT などがサービスを提供しています。しかし、いずれも継続的に発送量が見込める業務利用を想定しており、個人での利用は受け付けていない、あるいは受け付けていても割高になります。
国際郵便商品ラインアップ
国際郵便で荷物を送る場合、同じ品物でも複数の手段で送ることが可能で、場合によっては配達が遅い手段の方が送料が高くなるなど分かりにくい点があります。一度、サービスを提供する側からの視点で整理しておくと、このあたりの事情が理解しやすくなります。
国際郵便のサービスは日本の郵便局が独自に決めているのではなく、万国郵便連合 (UPU) が所管する万国郵便条約に基づいて定められています。そのうち、実体のある物の配送に関わる商品は次の3つです。
- 国際通常郵便
- 国際小包郵便
- 国際スピード郵便 (EMS)
原則として、文書は国際通常郵便、荷物は国際小包郵便という棲み分けです。
しかしながら国際小包郵便はある程度の分量・価格のものを想定したサービスのため、それほど嵩張らずに安いものを送るには割高になります。そこで、軽量・安価な荷物に関しては限定的に国際通常郵便でも扱えることとし、割安な送料でサービスを提供しています。
最後の国際スピード郵便 (EMS) は内容物に関わらず利用でき、配送は最優先、かつ郵便事故時の損害保険も高めに設定できるサービスとなっています。ただし利用できる国が限られており、料金も高めです。なお日本からスイスへの発送では利用可能です。
それぞれの商品について詳細を見る前に、まず、金額に使われる SDR という単位と、すべての商品に共通する国際配送の過程について見ていきます。
SDR
国際郵便では、郵便事故時の賠償金額上限などを定める際に SDR という単位を使います。1SDR が何円に相当するかは毎年見直されますが、2017年1月時点では 1SDR = 155.9674円となっています。
国際郵便の配送過程
国際郵便の配送は日本国内区間、国際区間、そして最後のスイス国内区間の3区間に分けられます。
- 郵便物をポストに投函、もしくは郵便局で引き渡す。
- 日本国内区間
- 日本国内の国際交換局に到着。輸出手続きを行う。
- 国際区間
- スイス国内の国際交換局に到着。輸入手続きを行う。
- スイス国内区間
- スイス国内の住所に配達される。
原則として日本から海外に荷物を送る際には、差出人が税関に輸出申告を行い、税関による審査・検査を経て輸出許可を受ける必要があります。ただし国際郵便は個人・小口での利用が多いことを鑑み、価格が20万円以下で輸出規制のない物を送る場合には簡易な方法が認められており、必要な手続きも郵便局側が無料で行います。
なお手続き自体は郵便局側が行いますが、そのために必要となる書類の作成は差出人の仕事です。具体的には税関申告書という書類に郵便物の内容・金額等を記入して送付物に貼付します。
税関申告書には簡易版の CN22 と一般的な CN23 があり、送付方法や金額によってどちらを使うかが決まります。また送付方法によっては郵便局に用意されている送り状に差出人・宛先の情報を記入して荷物に貼付しますが、この場合は送り状に税関申告書が含まれているため、税関申告書を別途用意する必要はありません。
スイス公共交通機関 子供向け定期券
スイスで公共交通機関を利用する場合、6歳以上になると切符・定期券の購入が必要です。普通に買うとかなり高額ですが、特定の人(両親など)と頻繁に移動する場合には、切符に代えて安価な子供向け定期券を買うことができます。
通常の定期券と異なり、この子供向け定期券は単体では効力を持ちません。
Junior-Karte
- 子供が両親と一緒に公共交通機関を利用する場合、両親が有効な切符・定期券を持っていれば、Junior Karte を持った子供は同一区間を無料で利用できる。
Kinder-Mitfahrkarte
- 子供が定期券に記名された人と一緒に公共交通機関を利用する場合、記名者が有効な切符・定期券を持っていれば、Kinder-Mitfahrkarte を持った子供は同一区間を無料で利用できる。
Junior-Karte には子供と両親の名前が記入されており、2枚発行されます。1枚を父親、もう1枚を母親が持って使います。Kinder-Mitfahrkarte は記名式のため、たとえばその子が祖父のみ、もしくは祖母のみと公共交通機関を利用する場合、祖父とその孫、祖母とその孫の組み合わせで1枚ずつ定期券が必要となります。
いずれも1年間有効で、Junior-Karte は2枚セットで30CHF、Kinder-Mitfahrkarteは1枚30CHFですが、期間限定で2018年3月までは半額の15CHFで購入できます。
公式ページ: Junior-Karte und Kinder-Mitfahrkarte
先日、チューリッヒ中央駅で Junior-Karte を購入しましたが、窓口に行き、子供の年齢を確認できる書類(パスポート、滞在許可証など)を提示、両親の名前と住所を伝えるとその場で発行されました。また有効期限開始日を後日とすることも可能なので、6歳の誕生日を迎える前に購入することも可能です。
なお Junior-Karte の券面上には子供の氏名、住所、生年月日、両親の氏名が印刷されており、そこに両親が署名します。なお大人向けの定期券などと異なり、本人の写真などは必要ありません。
定期券保有者がチューリッヒ近郊の相互直通運転路線を利用する際に必要となる切符
スイスの都市では、公共機関の運賃はゾーン制になっています。運行エリアを複数のゾーン(区画)に分けて、経路上に幾つの区画が含まれるかで運賃が決まります。たとえばチューリッヒ州だと、市内は Zone 110 で南に行くと 140 (チューリッヒ湖東岸) や 150 (チューリッヒ湖西岸) になります。
参考: チューリッヒ交通組合 区画マップ
定期券もゾーン単位で発行されるのですが、定期券所有者が定期券でカバーされていない隣接するゾーンに出かける場合には、通常のチケットの代わりに定期券と合わせて使える Anschlussbillette (ゾーン延長チケット) を買うことができます。たとえばチューリッヒ市内の Zone 110 で有効な定期券を持っている人が隣の Zone 150 に出かける場合、Zone 150 の通常チケットを買う代わりに 1 区間延長チケットを購入して定期券と合わせて使えます。(そのほうが安い)
通常はこれだけで特に複雑なことはないのですが、これがチューリッヒ交通組合が管轄しているエリアから、他のエリアまで相互直通運転で行くと、話がややこしくなります。
Sie haben einen Z-Pass und wollen in einem der beteiligten Verbünde weiterfahren? Dann brauchen Sie einen regulären Fahrausweis dieses Verbundes ab der nahtlos an Ihren Z-Pass angrenzenden Zone.
Ausnahme: Das gilt nicht, wenn das Verkehrsmittel im Verbund der Weiterfahrt innerhalb des Gültigkeitsbereichs Ihres Z-Passes nicht hält (z. B. bei einem Schnellzug ohne Halt, siehe Beispiel). In diesem Fall benötigen Sie einen Fahrausweis ab dem letzten Halteort.
チューリッヒ近郊スキー場事情
スイスのスキー場事情について、チューリッヒ近郊を中心に。
スイスでの冬の楽しみといえばスキー場です。ゲレンデでのスキー・スノーボードはもちろんですが、クロスカントリースキーやソリ、ハイキングのコースも用意されており、スキーやスノーボードをしない人でも楽しめます。
スイスのスキー場は世界的にも有名な滞在型リゾートから、日帰り利用も多い地元の人向けの場所まで様々。
前者はある程度の期間滞在することが想定されており、冬のシーズンにはホテルでは最低宿泊日数が設定されていることも多いです。チューリッヒからだとアクセスに時間がかかりますが、風光明媚なところが多く、また街には多くのレストラン・ホテルなどがあり、長期でも飽きることなく快適な滞在を楽しめます。
一方、後者には日帰りで来る人もいれば、近くのホテルやアパートを借りて連日来る人もいます。スイスの義務教育過程では新春にスキー休暇が1週間ほど設定されており、それに合わせて子連れで来ている人も多いです。なおスキー休暇の日程は全国一律ではなく場所によって異なり、一斉休暇でスキー場が混雑しすぎないように配慮されています。
ここでは滞在型リゾートではなく、主にチューリッヒから日帰りでアクセスできる距離にあるスキー場について書きます。なお、スキー場内にある施設やゲレンデマップの見方については滞在型リゾートでも変わらないので参考になると思います。
スキー場へのアクセス
スイスは公共交通機関が発達しており、鉄道・バスでスキー場に行くことも可能です。週末になるとスキーブーツを履いて電車に乗っている人もよく見かけます。ただしスキー場はどうしても山がちなところにあり幹線からは離れるため、車があったほうがアクセスは楽です。
なお滞在型リゾートだと、逆に車よりも公共交通機関の方がアクセスが容易だったり、街全体が環境保護のために自動車乗り入れ禁止の所もあります。
チューリッヒ自体はそれほど標高が高くなく雪も積もらないためスキー場はありませんが、車で1時間半以内でアクセスできるスキー場だけでも選択肢は豊富にあります。
私は主に Meiringen-Hasliberg を利用しています。ここはスキー・スノーボード用のゲレンデに加えてソリ用の長距離コースも隣接しているため、まだスキーをしない小さな子供とソリ滑りするのに便利なのと、リフトを使わない子供用の短距離スキーコースがあり、スキーを始めたばかりの子供と一緒に滑れるためです。
車でスキー場に行く場合、駐車場はメインのスキーコースと隣接していないのが一般的です。駐車場はスキーコースよりも数百メートル標高が低い町の中にあり、そこに停めてからロープウェイなどでスキー場に向かいます(ただし、ハイシーズンには駐車場まで滑って降りることが可能な場合もあります)。Meiringen-Hasliberg を例にとると、駐車場は Twing, Reuti もしくは Meiringen にあり、そこからロープウェイで Käserstatt と Bidmi という拠点に向かいます。
こうすると駐車場は比較的標高が低くなるため、駐車場までの道が平坦となり積雪量も少なくなります。Meiringen-Hasliberg では駐車場までの道は普段は路面には雪が全く無い状態で、降雪時にも頻繁に除雪が行われるため、少なくとも今年は路面にうっすら雪が積もる程度でした。スタッドレスタイヤを履いていればチェーン不要で、四輪駆動車でなくとも簡単に駐車場まで行くことが可能です。
駐車場にはいくつかのタイプがあります。
- 入場ゲートで自動発券機からチケットを受け取り、出場時には事前に自動精算機で料金を払った後、出場ゲートの機械に精算済みチケットを通す。
- 駐車場内にパーキングチケット発券機が設置されており、駐車後に利用時間に応じた料金を投入してパーキングチケットを発券、それを車内フロントグラスから見える位置に置いておく。
- 駐車すると係員が来るので、そこで料金を支払う。
パーキングチケット発券機はコインしか受け付けずお釣りも出ない事が多いので、事前にコインを用意しておく必要があります。発券機に利用時間と金額の対応表が書いてあるので、必要な時間分だけコインを投入して発券ボタンを押します。
なお繁忙期で駐車場が満車となった場合、係員の案内に従って路上駐車を行うこともあります。駐車後も対面通行できるだけの道幅を確保するためにガードレールギリギリに寄せることが要求されるため、助手席の人を先に下ろしてから停めることになります。
Meiringen-Hasliberg では Käserstatt と Bidmi という 2 つの拠点がありますが、利用する駐車場によって直接アクセスできる拠点が異なります。異なる拠点に移動したい場合には、拠点からスキーリフトで上がって中級コースを滑って移動するか、あるいは有料のバスを使うことになります。
チケットの買い方
スキーもしくはスノーボードでゲレンデを利用する場合には、指定された期間ロープウェイやリフトを無制限に乗れるパスを購入します。
パスの情報は無線ICカードに格納され、リフトなどの入口付近に設置されたゲートに近づけることで通過可能になります(正確にはICチップには固有の番号が割り振られているだけで、その中には情報は書き込まれません。スキー場のゲートを管理するシステムの方にICチップの番号と有効期限が記録されます)。
パスの有効期限は半日券 (8時から13時まで、もしくは12時から17時まで)、1日券に加えて2日券、3日券など連続した日程で利用可能なパスや、連続した6日間の内4日間を選んで利用できるパスなどが販売されています。スキー場でパスを購入すると5スイスフラン程度の小額の保証金と引き換えにICカードが貸し出され、返却時に保証金が払い戻されます。
また複数スキー場で使える汎用のICカードがあり、それを持っている場合には、事前にオンラインサイト ski.ticketcorner.ch でパスを購入して自分のICカードに登録しておくことが可能です。当日窓口で並ぶ手間が省けて便利。
ソリやハイキングで利用する場合には、一回券やソリ・徒歩専用のパスを購入します。スキー、スノーボード用のチケットと比べるとやや安価で、かつ Halbtax Abo(スイスの公共交通機関全般で使える割引カード)を持っていると割引が適用されます。
スキー場内施設
レンタルショップ
スキー、スノーボードなどの用品をレンタルすることができます。ウェアは取り扱っておらず、スキーであれば板、シューズ、ポールの三点、スノーボードであればボードとシューズの二点のみの取り扱いが一般的。またソリコースが併設されているスキー場ではソリもレンタル可能です。
私はいつも事前予約無しで当日申し込みですが、今までのところ借りられなかったことはありません。クロスカントリースキーは取り扱いがない場合も多く、また場所によっては幼児用のサイズを取り扱っていない場合もあるようです。レンタルにはクレジットカードが必要で、これで利用者登録を行います。支払いはクレジットカードが使えるところと、現金のみの場合とあり。
レンタルショップは駐車場の近くにある場合と、駐車場からロープウェイなどで登った拠点エリアにある場合があります。専用のチケット売り場がない場合には、レンタルショップがリフト券などの販売窓口も兼ねています。
レストラン
セルフサービス式のところと、店員がオーダーを取りに来るところとあります。同じ敷地内で区画を分けて営業していることもあり、セルフサービスで購入したものをオーダーを取りに来る方の座席に持ち込まないようにと注意する看板 (Wir bedienen Sie, 直訳すると「私達があなたにサービスします」) が出ていることがあります。
チューリッヒ近郊の日本語補習校
チューリッヒ日本語教室とツーク日本語学校を見学してきました。
いずれも、日本語を母国語としつつ現地校(ドイツ語)に通う児童向けに日本語と日本文化を教えるもので、州政府教育庁から Unterricht in heimatlicher Sprache und Kultur (継承語と継承文化授業)として認可を受けています。
参考:チューリッヒ州政府による継承語と継承文化授業に関する解説 日本語PDFあり
水曜日午後に開講されており、授業は週に80分から90分程度。加えて宿題が出ます。現地校で受ける教育が主、それに対する補習校という位置づけです。受講すると選択科目として「日本語」を履修したという扱いになり、小学校からは現地校の成績表にも記載されるとのこと。
どちらの学校も目標とするところは近いですが運営体制や方針には差があるので、Web ページなどで情報を集めると共に実際に見学に行って教員と話してみることが望ましいです。
なお、両校とも日本の学校教育法が規定する学校、あるいはそれに準ずる教育を行う施設として日本の文部科学省から認可を受けているわけではないので、履修して単位を取得しても日本における卒業資格とはみなされません。
たとえば、日本の高校に入学するには日本の文部科学省が認める中学校相当の教育課程を修了する必要がありますが、ツーク日本語学校の中等部過程を修了しても、これは認められません。もっとも、補習校程度の学習時間で日本の教育指導要綱で定められた学習内容(理系科目はともかく、日本地理、日本史、公民、古典、漢語など)をこなすのは難しいため、たとえ制度的に認められたとしても、日本の学校で学んだ生徒・児童と同じ土俵で競うのは非現実的ですけど。
最初から一定期間で帰国して日本の学校に入れることが想定される場合は、現地校+日本語補習校ではなく、日本の学習指導要領に従った教育を行っており、日本で有効な卒業資格を得られる日本人学校全日制過程に通わせることになります。チューリッヒ州だとウスター市にチューリッヒ日本人学校があります。この場合のデメリットは、現地社会への統合、ならびに現地での進学が難しくなること。
一方、スイスに長期間在住する想定で、日本語能力を伸ばし日本文化に関する理解を深めさせたい場合には、現地校に通わせつつ日本語補習校に通わせることになります。現地校だけの場合と比べると授業と宿題が増えるため両親と子供の負担が増えますが、サッカーや楽器などの習い事をしてると思えば似たようなものでしょう。
補習校
- チューリッヒ日本語教室
- ツーク日本語学校
- チューリッヒ日本人学校 日本語補習校(土曜日午後開講、2時間程度)
全日制


