スイス在住者が日本一時帰国時に買い物をする際の手続き
海外に住んでいると、生活する上で日本の書籍や食料品などが欲しくなります。日本に一時帰国する機会がある場合、そこで買い込んで帰国時に預け入れ手荷物としてスイスに持ち込むのが安上がりですが、その際の手続について。
免税での購入
日本でものを買うと消費税がかかりますが、これは日本で居住する人間の行政サービスを補うためのコストということで、海外居住者は支払いを免除されます。
免税の条件
観光庁 Japan Tax Free Shop - 免税店とは?
ただし全ての商品を免税で購入できるわけではなく、いくつか条件があります。詳細は上記の観光庁の Web サイトにありますが、特に重要なのは次の点です。
- 入国時にパスポートに日本入国スタンプを押印してもらう。
- 免税措置に対応した店舗で購入する。
- 消耗品、一般物品とも5,000円以上を同日中に一店舗で購入する。
- 免税で購入した物品は、確実に海外に持ち出す。
免税での購入は非居住者に限られているため、日本国パスポートの保持者は海外に居住しており、現在は一時帰国中であることを証明する必要があります。一般に販売店ではパスポートに押印された入国スタンプの日付を見て居住性の確認を行うため、日本入国時には必ず審査官のいるゲートを通過して入国スタンプを押印してもらってください。自動化ゲートを利用すると押印が省略されるため、免税での購入ができなくなります。
免税対応の店舗は、家電量販店、百貨店などに加え、最近は大手コンビニやスーパーでも増えています。特にスーパーだとイオンは全店舗で免税に対応しているため、私は良く食料品や子供服を滞在地近くのイオンでまとめ買いしています。後述しますが、免税手続きは対面で行われるため、残念ながら通信販売は対象外です。
物品は消耗品(食料品、医薬品など)と一般物品(家電製品、服飾品など)に分けられ、それぞれのカテゴリで 5,000 円以上購入した場合のみ免税手続きが可能です。食料品3,000円 + 家電製品 3,000 円だと免税できません。
また免税で購入した物品は、日本出国に際して海外に持ち出す必要があります。国内で使用する消耗品や、国内に残していく一般物品には消費税を支払う必要があります。
免税の手続き
店舗によって、購入時に消費税抜きの価格で支払いを行う場合と、一旦、消費税込みの額を支払った上で消費税額相当分を払い戻す場合があります。
いずれの場合も入国スタンプのあるパスポートを持参する必要があり、また店舗によっては海外の滞在許可証の提示が要求されます。
購入時に消費税抜きの価格で支払いを行う場合
大手だとユニクロとマツキヨがこの方式を採用しています。
購入する物品とパスポートを持って免税対応のレジに並び、海外居住のため免税で購入したい旨を申請します。店員がパスポートを確認の上で免税の手続きを行い、パスポートに免税で商品を販売した記録票をホチキスなどで留めます。
消費税相当額を後で払い戻す場合
購入の手続きは課税の場合と同様です。
買い物終了後に、店内にある免税カウンターに行き、パスポート、レシートと購入した物品を提示します。店員がパスポートとレシートを確認の上で免税の手続きを行い、パスポートに免税で商品を販売した記録表をホチキスなどで留めます。この際に、消耗品は国内で使えないように専用の袋に封印されます。
その後、現金で消費税相当額から手数料(店舗によって無料から1.1%程度)を差し引いた金額が払い戻されます。購入がクレジットカード払いであっても必ず現金で払われます。
なおクレジットカードで支払った場合にはクレジットカードの提示を求められる場合もあるため、単一名義のカードで払っておくのが確実です。家族で一緒に買物に行く際など、夫と妻のカードでバラバラに払うと合算できなくなる可能性があるため、どちらかのカードでまとめて払っておく方がおすすめです。
空港での手続き
空港の出国審査場の直前に、小さな税関のブースがあります。そこに購入した物品を見せるとともに記録票が貼り付けられたパスポートを提出し、物品が輸出されたと確認の上で記録表を税関で回収してもらいます。
なお、よほど高額な商品でなければ物品の確認は省略されます。食料品や衣料品などはかさばるため、普通は機内に持ち込まずスーツケースやダンボールに入れて預け入れ手荷物にすると思います。こうすると税関まで持っていけないため税関職員に商品を提示できませんが、パスポートの提示だけで大丈夫です。
免税購入の得失
消費税免税で購入すると消費税分だけ安く購入できるわけですが、一方で、デメリットもあります。
たとえば大手家電量販店で購入する場合、通常はポイント還元がありますが、免税で購入する場合にはポイント加算対象外となるのが一般的です。またオンライン通販専門業者は免税非対応ですが、そちらで買ったほうが消費税を支払っても安上がりになる場合もあります。
輸入手続き
禁制品
スイスには、日本からの肉や種子の持ち込みに制限があります。
食料品に関しては調理済みの缶詰やカレーのレトルトパックなどであれば大丈夫ですが、ハムや生肉などは原則として持ち込めません。種子に関しては日本人だとコメを持ち込みたいところだと思いますが、玄米や精米などの発芽能力がない状態であれば大丈夫なようです。
輸入関税の支払い
海外で購入した物品をスイスに持ち込む場合、免税限度額を超える物品については輸入時に税金を支払う必要があります。すべての物品に付加価値税 (MwSt, Mehrwertsteuer) が課税され、また酒類やタバコなど一部物品については追加で個別に税が課されます。
Eidgenössische Zollverwaltung - Einfuhr in die Schweiz
付加価値税額の計算
付加価値税の免税限度額は1人300CHFで、それを超える場合には輸入品全額に対して付加価値税が課されます。
税率は食料品、医薬品、書籍、雑誌などの軽減税率適用品は 2.5%、それ以外は 8.0% で、いずれも消費税抜きの金額を元に輸入当日の為替レートで計算されます。仮に通常税率適用の衣料品を500CHF、軽減税率適用の食料品を200CHF輸入する場合、付加価値税額は 500CHF × 8.0% + 200CHF x 2.5% で 45 CHF となります。
スイス滞在資格 続き
日本人を含む非EU/EFTA国出身者がスイスの企業に派遣、あるいは直接雇用される場合には、受け入れ先の州政府からL滞在許可証、B滞在許可証、もしくはC滞在許可証を取得する必要があります。公的に決められている違いと、現実社会で遭遇する待遇の違いについて。
公式な話
L滞在許可(短期滞在許可)
雇用先がスポンサーとなって州当局に申請を行い、3ヶ月以上、1年以内の短期滞在が許可された場合に発行されます。更新回数に制限があり最長で2年まで延長可能。なおスポンサー企業と雇用関係がなくなった場合には滞在許可は取り消され、住居は雇用先と同一州に限られます。
配偶者、扶養対象の子どもにもL滞在許可が発行されます。ただし労働許可は本人に対するもののみで、配偶者が就労するには、別途スポンサーの支援を得た上で州当局に申請を行い、労働許可を取得する必要があります。
2014年現在、高度人材に対するL滞在許可の年間新規発行数は全国で5,000に制限されています。
B滞在許可(長期滞在許可)
雇用先がスポンサーとなって州当局に申請を行い、1年以上の長期滞在が許可された場合に発行されます。1年間有効で更新回数の制限なし。L滞在許可証と同様、スポンサー企業と雇用関係がなくなった場合には滞在許可は取り消され、住居は雇用先と同一州に限られます。
配偶者、扶養対象の子どもにもB滞在許可が発行され、配偶者も就労が許可されます。
L滞在許可と異なり、B滞在許可申請時には犯罪経歴も調査されます。日本在住者がスイスでB滞在許可を取る場合には、日本の警察当局から犯罪経歴証明書の発行を受け、それを州の移民局に提出することになります(参考: 警視庁 渡航証明の申請について)
2014年現在、高度人材に対するL滞在許可の年間新規発行数は全国で3,500に制限されています。これにはL滞在許可からB滞在許可に切り替える数も含まれます。
C滞在許可(定住許可)
B滞在許可を取得して継続して10年間以上スイスに滞在した場合、もしくは継続して5年間以上滞在し、かつスイス社会に良く統合されていると認められた場合に発行されます。雇用先や住居の制限がなくなり、経済的にはスイス人と同等の権利が認められます。
非EU/EFTA国出身者がスイスの企業に派遣、もしくは雇用されて就労する目的で滞在許可を申請する場合、まずはL滞在許可が発行され、1年もしくは2年後にB滞在許可に切り替えるケースが多いようです。受け入れ側で特に欲しいと思った人材には、最初からB滞在許可を発行するケースもあります。
私が2011年にチューリッヒに赴任した際には、まず1年有効のL滞在許可が発行され、その有効期限(1年)が切れる1ヶ月ほど前に「B滞在許可に切り替えるので必要書類を持ってきてください」という手紙が送られてきました。ただし、元々1年間の海外赴任だったので、更新せずに帰国しましたけど。
実生活上の話
短期滞在で経済基盤がスイス外にある場合には、L滞在許可とB滞在許可の差は大きくありません。しかし経済基盤をスイスに移すとなると、L滞在許可では次のような場面で制約を受けます。
- クレジットカードの発行を受けにくい
- 家を借りにくい
- 配偶者が職につけない
L滞在許可はあくまで短期滞在許可で、経済的には不安定だと判断されがちです。たとえ雇用契約に期限の定めがない正社員だったとしてもL滞在許可の延長が認められなかったりB滞在許可に切り替えられないリスクがあり、その場合には帰国する以外の選択肢はありません。
大家側としては、L滞在許可保持者に物件を貸した場合は賃貸契約が短期で解約となるリスクが相対的に高くなるため、複数の入居申し込みがあればB/C滞在許可保持者を優先するのは自然な発想です。
また配偶者が職につけないのも長期になると経済的にも影響が大きいですし、人間関係を築いていく上でも、仕事を通じて人と知り合う機会が制限されます。
スイスから隣国に買い物に行く際の税金の扱いについて
スイスはドイツ、フランス、イタリアなどと陸続きですが、いずれもシェンゲン協定に加盟しており入出国審査が省略されます。国境にはかつての名残で検問所がありますが、日本の有料道路料金所のような作りで、基本的には審査もなく車に乗ったまま簡単に通過できます (ストリートビューで見る)。
日本では外国に行くというと大事ですが、スイスでは物理的にアクセスが容易なのと、また隣国のほうが物価が安いという事情もあり、週末になると外国まで車で買い出しに出かける人を多く見かけます。たとえばバーゼルから出国してすぐの Weil am Rhein にあるショッピングモール Rhein Center などは、まさにスイスからの越境ショッピング客をターゲットにした立地です。
スイスから出国し、日用品を購入して戻ってきた場合の税金関係の手続きに関して、必要があって調べたのでまとめておきます。(2014/10/19現在)
たとえばドイツで日用品を購入しスイスに持ち込む場合、ドイツで商品代金と一緒に支払う VAT (付加価値税) の扱いと、スイスに輸入する際の VAT 支払いが問題になります。
結論から書くと、ドイツでは商品の代金とともに VAT を支払う必要がありますが、後日一部還付を受けられます。またスイスでは、週末に買い出しに行く日用品程度であれば免税です。
ドイツ VAT還付条件
- 1店舗における購入額が EUR 25 以上
- 2015年1月31日追記: 払い戻しを代行業者に依頼する場合には手数料の関係で最低額がありますが、自分で行う場合には2019年末までは下限はありません。
- なお2020年から当面の間、1店舗あたり EUR 50 以上の場合のみ払い戻しの対象となります。その後、スマートホンアプリを利用した新システムの稼働が予定されており、新システム導入後には再び下限が撤廃される見込み。
- 当該店舗が tax free shopping に対応していること
- 購入者が非 EU 圏に居住しており、国外に持ち出して個人で使用する物品であること。
- VAT 還付対象品目であること(サービスや自動車関連用品は対象外)
スイス関税免除条件
- 輸入総額が1人1日あたり CHF 300 以下であること
- 超えた場合には、超過分だけでなく全額に対してスイス側の VAT がかかる。税率は一般品目7.7%、特定品目(食料など)2.5%(2019年3月31日追記: 2018年に一般品目の税率が8%から7.7%に下がりました)
- 個別品目の上限を超えないこと
- 超えた場合には、その品目に対してだけ個別に税金がかかる
- 免税範囲 (1人, 1日あたり)
- 肉 1kg (狩猟で得たのもは除く)
- バター・クリーム 1kg
- 油・脂肪・マーガリン 5kg
- アルコール飲料 (アルコール度数18%未満) 5l (17歳以上)
- アルコール飲料 (アルコール度数18%以上) 1l (17歳以上)
- タバコ類 250本
手続
スイス滞在・労働許可申請
スイスで外国人が就労する場合、その国籍によって要件が大きく異なります。
EU/EFTA (欧州連合/欧州自由貿易連合) 加盟国の国民は、入国前に仕事が決まっていなくても構いません。入国してから3ヶ月間は就職活動期間として認められます。
日本も含めて、それ以外(第三国と呼ばれます)の国民は事前にスイスの企業と雇用契約を結び、労働許可証を取得しておく必要があります。労働許可証の発行の条件は厳しく、また発行数にも上限が設けられています(参考: スイス連邦移民局 EU/EFTA非加盟国の国民に対する就労許可)。
第三国の国民が就労することは、スイスおよび EU/EFTA の労働市場から適切な人材を雇用できない場合に限って認められています (Art. 21 AuG)。特殊なケースを除くと、大学卒業後に専門分野で複数年の経験を積んだ管理職や専門職、高度な能力のある料理人や職人、もしくは日本料理や日本伝統工芸のような日本文化に深く根ざした職業に就いている場合にのみ門戸が開かれていると言って良いと思います。
滞在・労働許可証の申請に際して、労働者側が用意する書類は次の通りです。
- パスポートのコピー(同居家族分も含む)
- 職務履歴書
- 学位証明書
- 雇用契約書
- 婚姻証明(配偶者がいる場合)
- 出生証明(子供がいる場合)
- 現在の企業の雇用証明書
これに、雇用者側が EU/EFTA の労働市場からでは人材を雇用できなかったという証明などをつけた上で、州政府の雇用担当課に提出します。その後、州政府と連邦政府が審査を行い、認められれば「滞在許可の確約書」(Zusicherung der Aufenthaltsbewilligung) が発行されます。
ところで必要書類のうち婚姻証明と出生証明ですが、これは日本人の場合は戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)とその翻訳になります。またスイス側では日本の公文書の真偽を確かめることができないため、原本と翻訳が真正のものであることを保証するために外務省の証明(アポスティーユ)が求められます。
アポスティーユ取得手続
- 翻訳者が公証役場に出向き、公証人の前で「この文書は戸籍全部事項証明書の原本と、その忠実な翻訳である」旨の文書に署名する。
- 公証人が、翻訳者(嘱託人)が書面に署名したことを認証し、署名捺印を行う。
- 法務局長が、署名・捺印は登録された公証人のものであることを証明し、法務局長公印を押印する。
- 外務省が法務局長公印を認証し、アポスティーユを書類に付与する。
ややこしいですが、こうすることで初めてスイス州政府・連邦政府⇛スイス外務省⇛日本外務省⇛法務局⇛公証人⇛翻訳者という信頼の連鎖が成立します。
アポスティーユをとるには、本来は公証役場、法務局、外務省と回る必要がありますが、東京・神奈川・大阪の公証役場では 2-4 をワンストップで行えるサービスを提供しています。これらの都府県で翻訳からアポスティーユの取得までを一括で業者に依頼した場合、費用は公証手数料11,500円を含めて22,000円から30,000円程度になります。
スイス滞在資格
スイスに長期滞在する、たとえばスイスの大学で学んだりスイスの企業に就職する場合でも、日本人は査証(ビザ)を取る必要がありません。では何も手続きがいらないのかというと、そんなことはありません。
一般に外国への入国に際しては、査証、滞在許可(在留許可)と就労許可の 3 つが必要となります。ただし国によって査証の発給=滞在許可だったり、目的によってはいくつか免除されていたりするので、話が混乱しがち。
整理しましょう。
査証とは、外国に入国する際に必要となる書類の一つです。一般には、入国を希望する旅行者が事前に自国あるいは居住国にある在外公館に申請を行い、受入国側が審査の上で入国させても問題ないと判断された場合に発給されます。なお、査証が発給されていても入国審査で拒否される可能性はあります。
滞在許可とは外国に滞在する許可です。入国を許可されても、無限にその国に滞在できるわけではありませんし、滞在地などにも制約が課されることがあります。
最後に就労許可とは、外国で収入を伴う活動を行うことに対する許可です。観光・留学や年金や投資からあがる資金を利用しての滞在ではなく、その国で仕事に就く場合に必要になります。
では、いくつか事例をもとに見てみましょう。
観光や仕事目的でのスイスに90日以内の滞在
日本人であれば査証は不要、90日以内であれば滞在許可も不要です。観光や、仕事であっても会議への出席など収入を伴う作業に従事することがなければ、就労許可も不要。つまりパスポートだけ持っていけば OK です。
日本からスイスの企業に1年間派遣される(海外赴任)
日本人であれば査証は不要ですが、滞在許可・就労許可が必要となります。滞在許可については、事前に然るべき手続きを行い、入国前に受け入れ先の州政府から「滞在許可の確約書」(Zusicherung der Aufenthaltsbewilligung) というものを取得しておく必要があります。入国後に、この書類を持って役所に行き登録を行うことで正式な滞在許可書が発行されます。就労許可は、スイス側の受け入れ先企業が州政府の移民局から取得する必要があります。
滞在許可にはいくつかの種類がありますが、このケースでは短期滞在向けで、更新回数に制約があるL滞在許可証が発行されることが多いようです。
スイスの企業に就職
このケースも海外赴任とほぼ同じ手続きとなりますが、発行されるのはL滞在許可証、もしくはB滞在許可証となります。最初にL滞在許可証が発行された場合、何度目かの更新時にB滞在許可証に切り替わるようです。B滞在許可証は1年間有効で更新可能。
L滞在許可証、B滞在許可証いずれも、原則として雇用先企業に紐付けられる形で発行されるため、転職は不可です。別のスイス企業に勤める場合には、滞在許可・労働許可を1から取り直し。また居住地も雇用先と同一州に限られるなど、いくつかの制限があります。
なおL滞在許可証が発給された場合、配偶者は就労できませんが、B滞在許可では配偶者の就労も認められます。