日本からスイスへの荷物発送

背景

海外に住んでいると、しばしば日本との間で手紙や荷物をやりとりする機会が出てきます。慣れれば大したことではないのですが、利用できるサービスの種類や手続きなどが国内便と異なり最初は戸惑ったので、情報をまとめておきます。

情報は2017年12月時点のもので、日本からスイスへの発送について解説しています。所要日数については関東近郊からの発送を想定しており、離島などでは長くなることがあります。

時間がない人向けに

郵便局に封筒に入れた文書もしくは梱包した荷物を持って行き、次の情報を局員に伝えると適切な発送手段を選択してくれます。記入が必要な書類(送付状、税関申告書、インボイスなど)を指定されるので、それに記入して送料を払えば終了です。
  • 内容物の明細と金額
    • 内容物は英語表記が必要。代表的な品目については郵便局が翻訳例を提供している。
  • 荷物の追跡、ならびに郵便事故時の補償は必要か?
    • 稀に郵便事故で送付物が紛失する可能性あるが、追跡不要とした場合には補償はない。
    • 補償が必要な場合には、補償額(内容物の金額が上限)
  • 所要日数(営業日)
    • 3日
    • 6日
    • 2週間〜2ヶ月
    • 1〜3カ月
発送に必要な書類や、損害賠償保険金額の上限などは日本郵便の国・地域別情報(国際郵便条件表)に詳細があります。

日本から食材などを取り寄せる場合、日本在住の肉親や知人に依頼して購入・転送してもらうことも可能ですが、明細の作成や郵送手段の選択などは慣れないとやや面倒です。海外への荷物転送を専門に行っている業者もあるため(御用聞キ屋転送コムなど)、それらを利用するのも手です。

国際配送サービス概要

サービス提供事業者

日本から海外に手紙や荷物を発送する場合、利用できる手段は大きく
  1. 郵便局が提供する国際郵便
  2. 民間事業者の提供する国際輸送サービス
に分けられます。

国によって事情が異なるのですが、日本とスイスは郵便の信頼性が高いため、個人利用であれば国際郵便を使うのが安価で便利です。
民間事業者ではヤマト運輸、佐川急便、DHL、FedEx、TNT などがサービスを提供しています。しかし、いずれも継続的に発送量が見込める業務利用を想定しており、個人での利用は受け付けていない、あるいは受け付けていても割高になります。

国際郵便商品ラインアップ

国際郵便で荷物を送る場合、同じ品物でも複数の手段で送ることが可能で、場合によっては配達が遅い手段の方が送料が高くなるなど分かりにくい点があります。一度、サービスを提供する側からの視点で整理しておくと、このあたりの事情が理解しやすくなります。

国際郵便のサービスは日本の郵便局が独自に決めているのではなく、万国郵便連合 (UPU) が所管する万国郵便条約に基づいて定められています。そのうち、実体のある物の配送に関わる商品は次の3つです。
  1. 国際通常郵便
  2. 国際小包郵便
  3. 国際スピード郵便 (EMS)
原則として、文書は国際通常郵便、荷物は国際小包郵便という棲み分けです。

しかしながら国際小包郵便はある程度の分量・価格のものを想定したサービスのため、それほど嵩張らずに安いものを送るには割高になります。そこで、軽量・安価な荷物に関しては限定的に国際通常郵便でも扱えることとし、割安な送料でサービスを提供しています。

最後の国際スピード郵便 (EMS) は内容物に関わらず利用でき、配送は最優先、かつ郵便事故時の損害保険も高めに設定できるサービスとなっています。ただし利用できる国が限られており、料金も高めです。なお日本からスイスへの発送では利用可能です。

それぞれの商品について詳細を見る前に、まず、金額に使われる SDN という単位と、すべての商品に共通する国際配送の過程について見ていきます。

SDR

国際郵便では、郵便事故時の賠償金額上限などを定める際に SDR という単位を使います。1SDR が何円に相当するかは毎年見直されますが、2017年1月時点では 1SDR = 155.9674円となっています。

国際郵便の配送過程

国際郵便の配送は日本国内区間、国際区間、そして最後のスイス国内区間の3区間に分けられます。
  • 郵便物をポストに投函、もしくは郵便局で引き渡す。
    • 日本国内区間
  • 日本国内の国際交換局に到着。輸出手続きを行う。
    • 国際区間
  • スイス国内の国際交換局に到着。輸入手続きを行う。
    • スイス国内区間
  • スイス国内の住所に配達される。
原則として日本から海外に荷物を送る際には、差出人が税関に輸出申告を行い、税関による審査・検査を経て輸出許可を受ける必要があります。ただし国際郵便は個人・小口での利用が多いことを鑑み、価格が20万円以下で輸出規制のない物を送る場合には簡易な方法が認められており、必要な手続きも郵便局側が無料で行います。


なお手続き自体は郵便局側が行いますが、そのために必要となる書類の作成は差出人の仕事です。具体的には税関申告書という書類に郵便物の内容・金額等を記入して送付物に貼付します。
税関申告書には簡易版の CN22 と一般的な CN23 があり、送付方法や金額によってどちらを使うかが決まります。また送付方法によっては郵便局に用意されている送り状に差出人・宛先の情報を記入して荷物に貼付しますが、この場合は送り状に税関申告書が含まれているため、税関申告書を別途用意する必要はありません。

発送人と受取人の間で金銭のやりとりが発生する場合(通信販売など)では、税関申告書に加えてインボイスの提出も必要になります。

同様にスイス側でも国際郵便到着後には輸入手続が必要となりますが、これはスイス側の郵便局 (Die Post) が手続きを行います。通関手数料と輸入時にかかる税金(物品税など)は、郵便局員が荷物を配達する際に受取人に請求します。

国際郵便商品

これから国際通常郵便、国際小包郵便、国際スピード郵便(EMS)について詳細を見ていきますが、まずは商品内容が比較的単純な国際小包から。

国際小包郵便

国際小包郵便は一般的な物品を送るのに使える商品で、国内郵便ではゆうパックに相当します。
一個口で30kgまで送ることができ、またすべての国際小包には識別番号が割り振られ、配送状況が追跡可能です。ただし手紙や契約書といった信書に分類される文書を送ることはできません。

参考:総務省 信書について

輸送手段

国際区間では次の3つの輸送手段が提供されています。輸送手段ごとの一般的な配達所要日数(営業日)は次のとおりです。
  • 航空便 6日
  • SAL便 2週間前後
  • 船便 1〜3カ月
航空便が最も早いが値段が高く、船便が最も遅いが安い運送手段となります。SAL便は国際区間の輸送に飛行機を使いますが、貨物便の空きを利用して輸送するため、到着までの日数は安定しません。空きがあれば航空便並みの日数で届きますが、混雑時には40日かかることもあります。

スイス到着後の国内区間は、追加料金を支払うことで速達扱いとすることが可能です。

スイスに到着してからは通関手続きがスムーズにいけば、国内区間通常扱いのもので空港到着の2日営業日後に配送されます。国内区間を速達扱いとしたことはないので、その場合の所要日数は分かりません。

付加サービス

最高1,000 SDR (約16万円) を限度とする損害賠償保険をかけることができます。

国際通常郵便

商品細分

国際通常郵便は信書ならびに少量の物品を送るのに使える商品で、国内郵便だと定形・定形外郵便物に相当します。

通常郵便物は、内容物によって商品が細かく分類されます。書類や荷物を送る場合には、次のいずれかの商品を利用することになります。
  • 国際通常郵便(手紙)
  • 国際通常郵便(印刷物)
  • 国際通常郵便(小型包装物)
それぞれ送付可能なもの、サイズ、重量などに制限があります。
まず信書に相当するものは、国際通常郵便(手紙)としてのみ送ることが可能です。特定の相手に宛てた手紙、確定申告書や請求書(商品に同封する場合を除く)などは信書に分類され、印刷物や小型包装物として送ることはできません。重量の上限は2kgです。

信書以外のものは、2kg以下であれば国際通常郵便(小型包装物)として送ることができます。
また書籍やダイレクトメールなど多数に向けて作成された複製物は、国際通常郵便(小型包装物)よりも重量制限が緩やかな国際通常郵便(印刷物)という商品で送ることができます。重量の上限は5kgです。

輸送手段

国際小包と同様に、国際区間では航空便、SAL便、船便の選択肢が提供されており、またスイス到着後の国内区間では追加料金を支払うことで速達扱いとすることが可能です。

輸送手段ごとの一般的な配達所要日数(営業日)は次のとおりです。
  • 航空便 6日
  • SAL便 2週間前後
  • 船便 1〜3カ月

付加サービス

いずれの商品も基本的には郵便物の追跡はなく、郵便事故時の補償もありません。

ただし航空便、SAL便であれば追加料金を払って書留扱いとすることで追跡可能になり、6,000円を限度とした実損額が補償されます。また国際通常郵便(手紙)を航空便で送った場合のみ、追加料金を払うことで最高1,000 SDR (約155,000円) を限度とする損害賠償保険をかけることができます。

セット商品

国際通常郵便を書留で送る場合、通常は宛名を記入した上で荷物を郵便物に持ち込んで書留の手続きをしてもらいますが、次の組み合わせの場合に限ってはPCを使って自分で専用ラベルを印刷することで若干安い値段で送付できる商品が提供されています。

まとめ

内容物に応じて利用できるサービスが自動的に決まり、それに輸送手段と付加サービスを選んで最終的な発送方法を決めることになります。なお損害賠償額と重量に上限があるため、重量物を大量に送る場合や、高価な物品を発送する場合には適しません。

国際スピード郵便 (EMS)

EMSは信書を含めた書類及び物品を送ることができる急送サービスです。サービス構成はシンプルで、内容物による区別や輸送手段の選択はありません。

EMSは万国郵便条約において「物理的手段による郵便業務のうち最も迅速なもの」と定められており、国際区間は航空便、スイス国内では Swiss Express <<Mond>> という翌朝午前9時配送の郵便物として扱われます。また通関も最優先で行われます。

通関に問題がなければ、日本国内発送後3営業日で届きます。

付加サービス

標準で2万円までの損害賠償額が保険でカバーされており、追加料金を支払うことで200万円までの損害賠償額を設定可能です。

国際郵便サービスの選び方

郵便サービスを選択する際には、送る荷物の内容、所要時間、荷物の追跡が必要か、郵便事故時の補償金額など複数の要素を考慮する必要があります。

信書を送る

信書の送付に使えるのは、国際通常郵便(手紙)もしくはEMSのみです。安価な商品から順に次のようになります。実際には利用する価値がないと思われるサービスはグレーアウトしてあります。



所要日数
補償額
国際通常郵便(手紙・船便)
1〜3ヶ月
なし
国際通常郵便(手紙・航空便)
6日
なし
国際通常郵便(手紙・航空便)+書留
6日
6000円〜115,000円
国際スピード郵便
3日
2万円〜200万円

国際通常郵便(手紙・船便)は書留扱いにすることはできません。

国際通常郵便(手紙)では輸送手段として航空便と船便の輸送方法が選べますが、料金にそこまで大きな差がないので、多くの場合、国際通常郵便(手紙・航空便)とEMSの選択になると思います。

可能な限り早急に届けたい、もしくは郵便事故時に115,000円を超える補償が必要な場合にはEMS、そうでなければ国際郵便(手紙・航空便)が経済的な選択となります。

軽量の物品を送る

軽量の物品を送る場合には国際通常郵便、国際小包郵便ならびにEMSいずれも使用することが可能です。なおここでの軽量の定義は国際通常郵便を使える範囲、具体的には印刷物であれば5kg以下、それ以外の一般的な物品は2kg以下です。

利用可能な商品と付加サービスの組み合わせは次のようになります。実際には利用する価値がないと思われるサービスはグレーアウトしてあります。
  • 国際通常郵便(船便):SAL便、航空便と送料の差は小さいが、所要日数が非常に長い。
  • 国際小包郵便:軽量な荷物を送る場合、国際小包郵便は国際通常郵便、EMSと比較して割高。補償額が6,000円以下でも十分な場合には国際小包郵便を使い、それ以上が必要な場合には EMS を利用。

所要日数
補償額
国際通常郵便(小形包装物・船便)
1〜3ヶ月
なし
国際通常郵便(小形包装物・SAL便)
約2週間
なし
国際通常郵便(小形包装物・航空便)
6日
なし
国際通常郵便(小形包装物・SAL便)+書留
国際eパケットライト
約2週間
6,000円
国際通常郵便(小形包装物・航空便)+書留
国際eパケット
6日
6,000円
国際小包郵便(船便)
1〜3ヶ月
なし〜約115,000円
国際小包郵便(SAL便)
約2週間
なし〜約115,000円
国際小包郵便(航空便)
6日
なし〜約115,000円
EMS
3日
2万〜200万円

国際通常郵便(小型包装物・船便)ならびに国際通常郵便(印刷物・船便)は書留扱いとすることはできません。航空便、SAL便を利用する場合には書留扱いとすることが可能ですが、補償額は6,000円までで、保険料を払っての上乗せはできません。

また国際小包郵便(航空便)とEMSを比較すると、軽量の荷物発送ではEMSの方が安くなります。サービスはEMSの方が早くかつ補償も手厚いため、国際小包郵便ではなくEMSを使うのがおすすめです。

上記に当てはまらない物品を送る

ある程度の重量(印刷物で5kg超、それ以外では2kg超)の荷物を送る場合には、国際小包郵便もしくはEMSを使用することが可能です。

商品を価格の安い順に商品を並べると、次のようになります。

所要日数
補償額
国際小包郵便(船便)
1〜3ヶ月
なし〜約115,000円
国際小包郵便(SAL便)
約2週間
なし〜約115,000円
国際小包郵便(航空便)
6日
なし〜約115,000円
EMS
3日
2万〜200万円

基本的には所要日数と必要な保障額によって商品を選ぶことになります。

また国際小包郵便(航空便)とEMSを比較すると、13kg までの荷物ではEMSの方が安くなります。サービスはEMSの方が早くかつ補償も手厚いため、国際小包郵便(国空便)ではなくEMSを使うのがおすすめです。

通関手続き

海外からスイスに到着した郵便物はスイスの国際交換局に送られて通関手続きが行われ、税額ならびに手数料が決められます。

税額

関税がない通常の物品の場合、付加価値税 (MwSt) のみが課税されます。税率は軽減税率適用品(書籍・食料品)に対しては 2.5%、その他一般物品は8%です。なお送料に対しても税率8% で課税されます。

計算の結果、税額が 5 CHF に満たない場合には免税となります。

手数料

免税となった場合には無料ですが、課税となった場合には一律 16 CHF と商品価格の 3% の合計額、もしくは 70 CHF のいずれか安いほうが手数料として課されます。
また荷物の添付書類に不備があり税額の決定に追加の調査が必要となった場合などは、さらに追加で手数料が請求されます。

支払い

郵便の配達時に、商品と引換に現金で税金と手数料を支払います。郵便局員はお釣りを用意していないことも多いですが、うちの郵便局では、お釣りを後日ポストに投函して返金でした。
郵便局窓口で受け取る場合には、現金以外に PostFinance Card (スイスのゆうちょ銀行キャッシュカード)もしくはスマートフォンでの無線決済サービス Twint で支払うことも可能です。

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