2015年2月26日木曜日

チューリッヒ市内 路上駐車規則

チューリッヒ市内の路上駐車規則について。

チューリッヒ市内には、道路に白、青、黄色で枠線が引いてある場所があり、条件を満たせば駐車可となっています。ほぼ縦列駐車です。

白枠 有料駐車区画
近くにパーキングメーターがあり、料金を支払うことで決められた時間まで駐車可能です。駐車料金は硬貨、もしくは Parking Credit Card というプリペイドカードで支払います。

青枠 無料駐車区画
駐車時刻を示す Park Disc をフロントグラス内に表示することで、1時間まで駐車可能。ただし時間のカウントの仕方に細かいルールが有る他、特定の条件で時間制限もなくなります(後述)。

黄色 指定車駐車区画
警察車両、タクシーなど指定された車のみ駐車可能です。

このうち、ルールがややこしい青枠駐車区画について。

原則として、この駐車区画には1時間まで駐車可能です。駐車したら、Park Disc という紙で出来た時計のようなものを駐車開始時刻に合わせて、フロントグラスから見える位置に置きます。こうすることで、表示されている駐車開始時刻の1時間後まで駐車できます。
これだけ書くとシンプルなのですが、実際には2つほど追加でルールがあり、やや複雑になっています。

ルール1) Park Disc に設定する駐車開始時刻は毎時0分、もしくは30分とする。

たとえば実際に駐車した時刻が9:00から9:29の場合、Park Disc には30分単位で切り上げた9:30を設定し、その1時間後である10:30まで駐車可能になります。

ルール2) 駐車時間に制限があるのは平日・土曜日の8:00-11:30, 13:30-18:30のみ。

11:30-13:30は昼食時、18:30-8:00は夜間ということで制限なく駐車可能です。

具体的には、ルール1にしたがって設定した Park Disc の表示時刻が12:00-13:30の場合には13:30までは駐車時間にカウントしないため、13:30から1時間、すなわち14:30まで駐車可能となります。
同様に Park Disc の表示時刻が18:30-8:00の場合には8:00までは駐車時間にカウントしないため、8:00から1時間、すなわち9:00まで駐車可能となります。

例 (いずれも平日・土曜日の場合)
駐車開始時刻 11:00-11:29
Park Disc 表示時刻 11:30
駐車時間カウント開始時刻 11:30
駐車可能最終時刻 12:30

駐車開始時刻 11:30-11:59
Park Disc 表示時刻 12:00
駐車時間カウント開始時刻 13:30
駐車可能最終時刻 14:30


青色駐車区画は訪問者用の一時的な駐車スペースとしても使われていますが、多くは周辺に住む住民の半恒久的な駐車場としても使われています。

青色駐車区画の近くには無料駐車区画を示す道路標識が設置されていますが、そこに「Mit Parkkarte 8003 unbeschränkt」のような記載があります。8003の部分は郵便番号で、駐車場がある地域によって変わりますが、直訳すると「8003の駐車カードがある場合には無制限」という意味です。
近隣住民は自分の居住場所に対応する駐車カードを購入することができ、その駐車カードを車外から見える場所に掲示することで、時間の制限なく駐車することが可能になります。2015年2月現在、駐車カードの費用は年間300CHFです。
ただし駐車カードはあくまで駐車時間の制限がなくなるだけで、一時駐車の車に対して優先されるわけではありません。先に一時駐車の車が停まっていた場合には、追い出すことはできません。

また一日駐車カードを一枚15CHFで購入することもできます。年間駐車カードは近隣住民にのみ販売されますが、一日駐車カードは居住地の制限がなく、全ての地域の青色駐車区画を利用可能です。

2015年2月23日月曜日

スイスの自動車保険制度

スイスの自動車保険制度について。

日本で自動車を登録する場合、事前に自賠責保険に加入する必要があります。自賠責保険は交通事故の被害者を救済するための制度で、保険金は被害者に対する治療費等の支払いや死亡時には遺族に対する支払いに充てられます。

スイスも同様で、自動車を登録するためには、事前に自動車事故による第三者賠償責任をカバーする保険に加入する必要があります。

日本では、自賠責保険は保険料・支払い条件が保険会社によらず全て同じなので、加入者がどこの保険会社に加入するかを気にすることはほとんどありません。多くの場合は自動車販売店にお任せだと思います。しかしスイスでは、日本でいうところの自賠責保険と任意保険をセットにして保険会社が販売しており、保険金額も各社によって異なるため、加入者が自分で選択する必要があります。

自動車保険を購入する際に、まず検討するのは保険の範囲です。
Haftpflicht (第三者賠償責任保険)
自分の過失で歩行者や他の自動車などに損害を与えた場合の賠償責任をカバーします。日本の自動車保険だと、自賠責保険と任意保険の対人・対物保険を合わせたものに相当し、補償額は100億 CHF と事実上無制限になっています。
Teilkasko (限定車両保険)
自分の車両に対する保険。火事, 爆発, 盗難, 天災, 野生動物との衝突, ガラスの破損などをカバーします。 
Vollkasko (車両保険)
自分の車両に対する保険で Teilkasko に加えて自損を含む事故, 当て逃げにも対応します。
日本では自動車保険で対応する運転者・同乗者の怪我 (搭乗者障害保険, 人身傷害保険) は、スイスでは通常の傷害保険 (加入必須) でカバーされるために自動車保険には含まれません。

また第三者賠償責任は必須ですが、車両保険は任意です。新車や高価な車の場合には Vollkasko を掛けておいたほうが良いと思いますが、中古車の場合には保険料・リスクと買い替え費用を天秤にかけて検討することになると思います。
車両保険は夜間の駐車方法によっても値段が変わります。スイスでは許可された区画であれば路上駐車も可能ですが、その場合には車体が傷つけられるリスクが増えるため、保険料がやや高くなります。
また車両価格の算定基準として市場価格を用いるものと、事前に決められた償却率(たとえば初年度は新車定価の100-90%, 2年目は90%-82%など)を用いる方式があります。後者のほうが高めの価格になります。

なお Haftpflicht, Vollkasko には Bonus (無事故割引) があります。運転者の年齢が25歳以上で、過去5年以内に保険金請求を伴う事故や免停などの行政措置を受けていない場合には、最大で保険料が 30% から 35% 程度 (7割引〜6割5分引き) になります。また保険を使用しても年間1度までであれば事故にカウントしない、つまり翌年の保険料が据え置きとなる Bonusschutz (等級プロテクション) を付けることも可能です。

他に保険料に大きく影響するものとして Selbstbehalt (免責額) があります。日本と同様、一定額までは自己負担とし、それを超える場合にのみ保険金からの支払いを受けるというものです。
Selbstbehalt は細かく設定可能な場合が多く、たとえば Teilkasko でカバーされる範囲は自己負担なし、ガラスやライトの修理は自己負担200CHF、それ以外は1,000CHFなどという設定が可能です。

また保険会社と提携している自動車修理工場で修理を行うと免責額が下がるという特約を設定している保険会社もあります。

なお Teilkasko は保険料割引がない代わりに、保険を使用しても保険料の値上げはありません。基本的に本人の過失によらないリスクをカバーしている保険だからでしょう。

他に、これに追加できる保険やサービスがいくつかあります。
Parkschäden / Schäden am parkierten Fahrzeug (駐車車両に対する保険)
駐車している間に自分の車両が受けた損害に対する保険。ショッピングセンターの駐車場で当て逃げされたとか、ドアをぶつけられてできた傷をカバーします。
Grobfahrlässigkeit (重過失保険)
運転者に重大な過失、たとえば信号無視などがあった場合には保険会社は保険金支払いを減額することが可能です。それをカバーする保険です。
Assistance (ロードアシスタンス)
自動車に関する日常的なトラブル、たとえばガス欠、バッテリー上がりやパンクなどの緊急対応を無料もしくは安価で行います。 
Unfall (傷害保険)
搭乗者の怪我をカバーします。通常は一般の傷害保険でカバーされますが、その保障に上乗せしたい場合に。
以上を勘案して購入する保険を決めて保険会社に契約を申し込み、保険会社から州の交通局に保険加入の通知を行ってもらいます。この通知を受けて、州交通局は自動車登録証の発行を行います。

2015年2月16日月曜日

運転免許証の取得方法

日本とスイスは運転免許の取り扱いに関して二国間協定を結んでおり、日本の運転免許証保持者には次の権利が認められています。

  • 入国後1年間は、日本の運転免許証と合わせて法定翻訳を持ち歩くことで自動車を運転可能です。(職業ドライバーは除く)
  • 入国後1年以内に所定の手続きを行うことで、学科、技能試験免除でスイスの運転免許に書き換えられます。
法定翻訳は、在スイス日本大使館などで作成してもらえます。


スイスの運転免許取得方法は州毎に詳細が多少異なるようですが、チューリッヒ州の場合は次のとおりです。
  1. チューリッヒ州交通局 (Strassenverkehrsamt des Kantons Zürich) の Web ページから申請書をダウンロードし、必要項目を記入。パスポートサイズの写真を貼付。
  2. 記入済みの申請書と滞在許可証を持ってメガネ屋さんに行って視力検査を行い、検査結果を申請書に記入してもらう。予約不要で時間も10分もかかりません。費用はメガネ屋さんによって違うと思いますが、私の場合は 10 CHF でした。
  3. 申請書、滞在許可証、日本の運転免許証と法定翻訳を持ってチューリッヒ州交通局に行き、窓口に必要書類を提出。
  4. 問題がなければ一週間程度でスイスの運転免許証が郵送されてきます。料金は後払い。
チューリッヒ州交通局はトラム13号線の Strassenverkehrsamt 駅の目の前にあります。(Google Map で見る)


細かい注意事項
  • スイス入国後に運転免許証の法定翻訳を取得するには、ある程度の時間がかかります。すぐに車を運転したい場合には、日本出国前に国際運転免許証を取得しておきましょう。厳密にはスイスでは国際運転免許証は効力がありませんが、実務上は日本の運転免許証の翻訳として取り扱ってもらえます。
  • 日本で平成19年6月1日以前に普通免許を取得した場合、スイスでは中型免許に相当する C1 カテゴリの車を運転可能です。ただし C1 カテゴリの運転免許を取得・保持するには視力検査に加え定期的な身体検査が必要なので、面倒なら放棄できます。申請書右下の "Ich verzichte auf die Kategorie(n)" という欄に C1 と書いて署名。
  • 運転免許証の書き換え処理中は、日本の運転免許証はチューリッヒ州交通局に預ける形になりますが、自動車の運転はしても構わないとのこと。警官に運転免許証の提示を求められた場合には、滞在許可証を示して運転免許証は書き換え処理中と伝えれば、警官はシステムに登録されている情報を確認可能だそうです。

移転します

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