2014年8月30日土曜日

スイス滞在・労働許可申請

スイスで外国人が就労する場合、その国籍によって要件が大きく異なります。

EU/EFTA (欧州連合/欧州自由貿易連合) 加盟国の国民は、入国前に仕事が決まっていなくても構いません。入国してから3ヶ月間は就職活動期間として認められます。

日本も含めて、それ以外(第三国と呼ばれます)の国民は事前にスイスの企業と雇用契約を結び、労働許可証を取得しておく必要があります。労働許可証の発行の条件は厳しく、また発行数にも上限が設けられています(参考: スイス連邦移民局 EU/EFTA非加盟国の国民に対する就労許可)。

第三国の国民が就労することは、スイスおよび EU/EFTA の労働市場から適切な人材を雇用できない場合に限って認められています (Art. 21 AuG)。特殊なケースを除くと、大学卒業後に専門分野で複数年の経験を積んだ管理職や専門職、高度な能力のある料理人や職人、もしくは日本料理や日本伝統工芸のような日本文化に深く根ざした職業に就いている場合にのみ門戸が開かれていると言って良いと思います。

滞在・労働許可証の申請に際して、労働者側が用意する書類は次の通りです。
  • パスポートのコピー(同居家族分も含む)
  • 職務履歴書
  • 学位証明書
  • 雇用契約書
  • 婚姻証明(配偶者がいる場合)
  • 出生証明(子供がいる場合)
  • 現在の企業の雇用証明書
これに、雇用者側が EU/EFTA の労働市場からでは人材を雇用できなかったという証明などをつけた上で、州政府の雇用担当課に提出します。その後、州政府と連邦政府が審査を行い、認められれば「滞在許可の確約書」(Zusicherung der Aufenthaltsbewilligung) が発行されます。

ところで必要書類のうち婚姻証明と出生証明ですが、これは日本人の場合は戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)とその翻訳になります。またスイス側では日本の公文書の真偽を確かめることができないため、原本と翻訳が真正のものであることを保証するために外務省の証明(アポスティーユ)が求められます。

アポスティーユ取得手続
  1. 翻訳者が公証役場に出向き、公証人の前で「この文書は戸籍全部事項証明書の原本と、その忠実な翻訳である」旨の文書に署名する。
  2. 公証人が、翻訳者(嘱託人)が書面に署名したことを認証し、署名捺印を行う。
  3. 法務局長が、署名・捺印は登録された公証人のものであることを証明し、法務局長公印を押印する。
  4. 外務省が法務局長公印を認証し、アポスティーユを書類に付与する。
ややこしいですが、こうすることで初めてスイス州政府・連邦政府⇛スイス外務省⇛日本外務省⇛法務局⇛公証人⇛翻訳者という信頼の連鎖が成立します。

アポスティーユをとるには、本来は公証役場、法務局、外務省と回る必要がありますが、東京・神奈川・大阪の公証役場では 2-4 をワンストップで行えるサービスを提供しています。これらの都府県で翻訳からアポスティーユの取得までを一括で業者に依頼した場合、費用は公証手数料11,500円を含めて22,000円から30,000円程度になります。

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